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心理的安全性とは?
心理的安全性は「知識を共有する文化」
人事やHRDに関わるみなさんには馴染みの深い「心理的安全性」。
これは、「Psychological Safety(サイコロジカル セーフティ)」を日本語に訳した言葉です。
昨今では人材開発に携わる方々だけでなく、事業部のリーダー・マネジメント層にも浸透し、一般的に使われるようにもなっています。
この「心理的安全性」という言葉は、Google社の研究チームである「プロジェクト アリストテレス」が調査していた「成果を出すチーム」についての研究結果を、2016年にニューヨークタイムズが紹介したことがきっかけとなって世間に広まったと言われています。
組織行動学の研究をしていたハーバード大学教授であり「プロジェクト アリストテレス」のメンバーでもあるエイミー・エドモンソンさんは、2021年に『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』という本を出版しています。
この本では、
心理的安全性とは「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」
である、とエイミーさんは述べています。
その他にもキーワードとして以下の内容が書かれています。
・現代は、協働する時間が20年前に比べて50%増加している
・相互依存の体制を整える必要性がある=『チーミング TEAMING』(名詞ではなく動詞)である
・心理的に安全な企業風土は「従業員が不安を覚えることなくアイディアを提供し、情報を共有し、ミスを報告する風土」である
このなかでも特に「相互依存(Interindependent)」という言葉は、
完璧な人は誰もいない、チームというものはみんながお互いに「依存」し合っていて、つよみや力を貸し合っているからこそチームとして協働できるということを意味しています。
つまり、心理的安全性の高い組織を実現するためには、このようなお互いのつよみを貸し借りできるような「チーミング」という行為が重要であり、不安を覚えることなくアイディアを提供し、そしてミスもたくさん報告されるような風土を醸成するための「働きかけを続けていくこと」が必要なのです。
まとめると「心理的安全性」とは、
知識労働が真価を発揮するために必要な「知識を共有する文化」であり、これらを醸成するためには新たな文化を作り続けるためのパラダイム転換と長期的な働きかけ(忍耐のあるトライアンドエラー)が必要だと、私は考えています。
心理的安全性はなぜ必要なのか<組織づくりの2つのかたち>
ではなぜ、心理的安全性が必要だと言われているのでしょうか。
組織づくりには、大きく分けて以下の2つの形があります。
一つめは「実行するための組織」。
成果創出における生産プロセスがすでにしっかりと解明・機能していて、決まったプロセスを「実行する」ことにより成果を生み出すことが可能な業務において有効な組織です。
この組織は作業効率をさらにアップしていく状態を目指すため、できないことや無駄を排除することを是とします。
そして二つめは「学習するための組織」です。
こちらはまだ成果創出に向けた生産プロセスが開発されていない業務において必要とされる組織です。
いわば「誰も正解を知らない」状態なので、トライアンドエラー(トライアンドフェイラー)を繰り返すなかで、ニーズの把握や問題解決を継続的に行い、さまざまな成功・失敗経験から学んでいく組織のことを指します。
そのため、失敗は是であり、早いスピードで実験することが求められます。
心理的安全性は、この二つめ「学習するための組織」をつくる上で必要不可欠な要素なのです。
「学習する組織」とは
私たちは今、”誰も答えを持っていない時代”を生きている
先ほどお伝えした通り、学習するための組織は「誰も正解を知らない」状態で、そこから 様々なことを学びあっていきます。
このような組織こそ、昨今のVUCAと呼ばれる”全く答えのない時代”において、とても重要になっているんです。
昨今ではよく「リモートマネジメントってどうしたらいいんですか?」というような相談を人事の方や現場のマネジャーの方から寄せられますが、
わたしにも正直わかんないよ。
っていうのがホンネです。
どういうことかというと、今まさに全世界のビジネスパーソンがリモートマネジメントの1~2年生なんです。
おそらく多くの方がこの1~2年で、どうやってリモート環境下でマネジメントをしていけばいいのか頭を悩ませ、試行錯誤をしてきたと思います。
そしてその中で、自分あるいは組織オリジナルのセオリーを見つけてきているチームが、この数年でかなり差をつけているのも事実です。
まさにこれが、「学習するための組織づくり」を体現できているチームです。
学習する組織には、「うちのマネジャーはリモートマネジメントが下手なんだよ」といったマネジャー批判や、「うちのメンバーは目を離すとどうせさぼるだろう」といったメンバーへの不信は存在しません。
「優秀な人材がいるかどうか」ではなく、「何を言っても否定される心配がない文化(=心理的安全性)」をつくっていくことで、困難な環境においてもチームとして答えを見つけていくことができます。
VUCA時代の現代において「答え」というものは、マネジャーや外部のプロフェッショナルが持っているわけではなく、すべて現場にあるんです。
その答えを導き出すために、「まずはこうやってみよう」「いや、ごめんやっぱりこのやり方に変えてみない?」といったオープンネスな発信が立場役割を超えてできるかどうかが重要です。
つまり、「答え」を紡ぎだせていける組織を作っていくには、心理的安全性が必要不可欠だということです。
学習する組織に必要なことは「心理的安全」と「責任」
しかし残念ながら、なかには心理的安全性のことを、こんな風に捉える方もいます。
そんなヌルいこと言ってんじゃないよ。“仲良しクラブ”じゃ数字は上がらないんだよ。
もちろん、心理的安全性の高い組織は、「仲良しクラブ」でなければ「忖度職場」でもありません。
「学習する組織」に必要なのは、「心理的安全性」ともう一つ、「責任」が必要であると言われています。
心理的安全性が高いだけでなく、メンバーそれぞれが自分でやるべきこと・成果を出すべきことに対してきちんとコミットし、新しい結果に向けてメンバー全員で邁進している組織こそ、「学習する組織」であるということです。
では「心理的安全性」と「責任」、どちらを先に作っていくべきなのでしょうか。
日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクターの中竹竜二さんが、2021年5月に開催されたHRカンファレンスでこんなお話をされていました。
元ラグビー日本代表のヘッドコーチであるエディー・ジョーンズさんは、チームの心理的安全性を高めることを重視し、あらゆる時間をチーム単位で過ごすよう指導をしていました。そしてその結果、前回のワールドカップではチームとして素晴らしい功績を残しています。
しかしそれより前の南アフリカ大会の時点では、日本のラグビーチームをまだ「負け癖のあるチーム」だと評価していたため、まずは選手一人一人がとにかく「勝ち」にこだわるよう、非常に厳しく指導していったそうです。
つまり、日本ラグビーチームの勝てるチームづくりにおいては、まずはメンバー全員の「責任」意識を高めたことによって、「心理的安全性」を高めていくコーチングが機能していったということです。
この話を聞いて、私も
あぁ、なるほど。
やっぱり役割期待を理解してしっかり果たせる、自律した個人をつくることが先なんだな。
と、すごく腹落ちしました。
リーダーがメンバー一人一人への期待をきちんと伝え、そしてメンバーは自らその期待と責任にコミットするために実践と自己研鑽を続け、それをリーダーがコーチ的に支えて伴奏する。
そうした自律性の高いメンバーが揃って初めて、心理的安全性は機能するのだと私は理解しています。
シンプルなのに難しい!心理的安全性の高いチームを作るために必要なこと
ではどのようにして心理的安全性の高い組織を作っていけばいいのでしょうか?
『心理的安全性のつくりかた(著:石井遼介 氏)』によると、心理的安全性をつくるためには
・ 話しやすさ
・ 助け合い
・ 挑戦
・ 新たな視点を歓迎する
という4つの因子が風土・文化として必要であり、
これらの因子を生み出すためにはリーダーによる具体的言動が必要だとおっしゃっています。
また冒頭でご紹介したハーバード大学教授のエイミー・エドモンソンさんも、「心理的安全性を高めるリーダーシップ行動」の要素のひとつに「具体的な言葉を使う」ということを挙げています。
つまり、話しやすい雰囲気や助け合う関係性をつくっていくためにも、マネジャー・リーダーがポジティブな視点で物事を認知・理解できて、そしてメンバー自身がもっとチャレンジしていく行動を起こす動機付けをしてあげるような関わりあいが大事だということです。
でもこれって、
「部下の言動を日ごろから観察して具体的に伝えよう」とか「リーダーの弱みも少し見せていこう」とか、マネジメント研修ではもう何十年も前から言われていることでもありますよね。
そう、心理的安全性を作り出すためにやるべきことって、とてもシンプルなんです。
でもなぜこんなにもシンプルなのに、こんなにも難しいのでしょうか?
それは、これらの行動を引き起こすための『具体的な言語』を、マネジャー・リーダー層が知らない・持っていないことが多いからだと、私は考えています。
心理的安全性を高める「共通言語」のつくり方
ではそんな「具体的な言語」とは一体どのようなもので、どうやって作っていけばいいのでしょうか。
そこで私たちは、心理的安全性の高いチーム文化を創るための共通言語として『クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)』を活用することをお勧めしています。
ストレングスファインダーとは、世論調査のグローバル企業である米国Gallup社が開発した、個人のつよみの源泉を発見し、つよみの相互依存チームを醸成するためのアセスメントです。
ストレングスファインダーを組織として活用していくことの効果として、以下が挙げられます。
・ お互いの「つよみ」を話し(聴き)あうことで、組織全体にポジティブな言葉と感覚が根付く
・ 価値観という少し深い部分からお互いを理解していくことができるため、相手の「行動の理由」が分かって距離が縮まる
・ 部下と何をどう話し、聴きだしてよいかわからない上司の最大の「言語ツール」となる
・ 共通言語ができることで、部下の特に失敗体験について「その理由と次への一歩」に全集中した会話へ転換できる
・ 上司が1つ1つ指示しなくても、メンバー同士が勝手に学びあい、実践が進む状態へと変化する
このような、つよみにフォーカスした「共通言語」をつくっていくことが、組織・チームの心理的安全性を醸成していくための最大のカギなのです。
ではどうやって「共通言語」をつくっていけばよいのでしょうか。
具体的なつくり方や活用例について、こちらの記事でご紹介していますのでぜひご覧ください。
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