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ストレングスファインダー

【ケーススタディ】心理的安全性を高めるチームの「共通言語」のつくり方

Author: 楠 麻衣香(スパークルチーム代表)

心理的安全性とは文化である

「心理的安全性」とは、「Psychological Safety(サイコロジカル セーフティ)」を日本語に訳したもので、 Google社の研究チームである「プロジェクト アリストテレス」が調査していた「成果を出すチーム」についての研究結果を2016年にニューヨークタイムズが紹介したことがきっかけとなって世間に広まったと言われています。

この研究チームのメンバーであるエイミー・エドモンソンさんは「心理的安全性」のことを、

「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」
著書:『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』2021年

と述べています。

つまり、メンバー同士がお互いのことをきちんと深くまで理解しあい、良いアイディアや出来事のシェアだけでなく、ミスのような悪い報告でも不安を覚えることなく言い合えて、そしてお互いのつよみを貸し借りできるような状態のことを指します。

※詳しくはこちらの記事をご覧ください

ではこの「心理的安全性」をチームでつくっていくにはどうしたらいいのでしょうか?

それには、マネジャー・リーダーによる日々の具体的な言動・関わりが必要です。

マネジャーは、チーム内を話しやすい雰囲気や助け合う関係性を創っていくために、
メンバー自身がポジティブな視点であらゆる物事を認知・理解でき、そしてもっとチャレンジするような行動を起こす動機付けをしてあげる必要があります。

しかしながら、「具体的にどんな風に接してよいのかわからない!」、つまり「具体的な言語」を持ち合わせていないことが多いのが現状なのです。

そこでこの記事では、心理的安全性を高めるためのマネジャー・リーダーの具体的行動・関わりを創るうえで不可欠な「共通言語を持つ」とはどういうことなのか、ご紹介します。

【ケース紹介】具体的な関わりが無いがゆえに減っていく心理的安全性

ではなぜ心理的安全性にはマネジャー・リーダーによる具体的な関わりが必要なのでしょうか?

職場でよく起こりがちな、実際の会話例をもとにお伝えしていきます。

ケース① 営業チームのメンバーAさんが失注!

メンバーA

●●社の件、失注してしまいました。(どうしよう、失敗した…)

上司B

どうして失敗したの?理由は?

メンバーA

・・・申し訳ありません。(やっぱり責められた…)

上司B

・・・・次は気をつけてよ。(理由を知りたかっただけなんだけどな…考えが浅いなぁ)

この会話、上司Bさんは失注の理由を知りたかっただけなのに、メンバーAさんは責められているような気持ちになってしまい、何も言えず謝罪をしたのみで終わってしまいました。

そして、BさんはAさんのことを消極的な人だなと捉えてしまい、ある種、問題のある部下だと思ってしまいます。

では次に、失敗ではなく逆に良い仕事をしたときのパターンも見ていきましょう。

ケース② 営業チームのAさんが受注!

メンバーA

受注しました!(やったー!今回は良い仕事できた~!)

上司B

さすが、キレキレの提案だったね!(褒めよう!)

メンバーA

・・・あ、ありがとうございます。(ん?キレキレ…??)

上司B

次もがんばってよ!(鼻息荒め)

メンバーA

・・・・・・はい。(なんか違うんだよなぁ…)

上司B

(この前も誰かに同じ言葉で褒めた気がするけど、まぁいいか!)

この会話、どうしてメンバーAさんは上司Bさんに褒められたのに、違和感を感じてしまったのでしょうか。

実は、Aさんはお客様との関係性をとても大事にするタイプの方で、受注をした事そのものよりも、これまでに何年もかけてお客様と関係性を作ったうえでの受注だったことが、なによりも嬉しかったのです。

よって、AさんはBさんの「キレキレ」という言葉に違和感を覚え、そしてBさんは褒めたにも関わらずAさんにはうまく届かなかったということです。

このように、良かれと思って言ったことでも相手には刺さらず、温度感が下がってしまう。
そんなことが職場では多く起こっているのではないでしょうか。

この2つの会話ケース、一体何が起こっているのかというと、

まさに「言葉(語彙)が足りていない」状態です。

AさんもBさんも、自分の中で起こったことや感じたことをしっかりと相手に伝え、そしてきちんと理解してもらうための「言葉」を持っていなかったのです。

このようなたった2~3分の会話でも、日々積み重なっていくことで相手の信頼を損ね、心理的安全性が低い状態をつくりあげてしまいます

では、これらを解決する「言葉」、つまり具体的言語となるのはどのようなものでしょうか。

「つよみ」に着目したチームの共通言語:ストレングスファインダー

チームの心理的安全性を高める一助となる言葉、それを私たちは「チームの共通言語」と呼んでいます。

チーム内で使う共通言語は、

・自分や相手の”価値観”を表現・理解できるような言葉

・日々の会話でみんなが思わず使いたくなっちゃうような言葉

であるべきだと感じています。

相手の普段見えている言動よりももう少し深いところにある”価値観”まで分かると、なぜその行動をとったのかといった理由がバックボーンから分かるようになります。

そうすると、先ほどのケースのような「良かれと思って言ったのに…」といったことは格段に減っていきます。

そしてその共通言語は、チーム全員がつい使ってしまいたくなるような親しみやすい言葉であればあるほど効果的です。

メンバーそれぞれの価値観を共通認識として持っておくことで、

良いことでも悪いことでも気兼ねなく伝えることができ、チームみんながやりがいを高めていけるような心理的安全性の高い組織を作っていくことができます。

そのようなチーム文化をつくる共通言語として、私たちはクリフトンストレングス(ストレングスファインダー)を活用することをお勧めしています。

ストレングスファインダーは、世論調査のグローバル企業である米国Gallup社が開発した、個人のつよみの源泉を発見し、つよみの相互依存チームを醸成するためのアセスメントです。

※詳しくはこちらの記事をご覧ください

アセスメントで診断をすると、その人の「つよみ」になりうる最も優れた潜在能力の源泉が全部で34個の資質に分けられ、TOP1~34まで分かります。※プランによってはTOP5まで

その中のおよそTOP10の資質は、意識せずとも普段から使っていると言われています

34個の資質は4つの資質群にカテゴライズされます

このストレングスファインダーの診断結果で分かった資質(=つよみ)を「共通言語」にしてチーム内で会話をしていくことで、

相手の深い部分を理解しながら物事を前に進めていくことができるようになり、またマネジャーとしても自分の上位資質を活かしたマネジメントをしていくことができます。

まいP

人事担当の方にお伝えしておきたいのは、ストレングスファインダーは適職が分かるわけではありません!

だから診断結果によって配属先を決める、というようなことは絶対にしないでくださいね♪

【ケーススタディ】ストレングスファインダーを共通言語にした会話事例

では、ストレングスファインダーで分かったメンバーの資質をどのように「共通言語」として使っていくとよいのか、上司との対話を例にご紹介します。

ケース①:Aさんの提出納期が遅れてしまった!

■Before

上司B

Aさん、なんでそうやって納期が遅れるの?

メンバーA

すみません・・・。以後スケジュール管理をちゃんとします・・・

この会話を、ストレングスファインダーの資質を共通言語として使うとどう変化していくでしょうか。

■After

上司B

納期が遅れたのは、Aさんの最上志向が暴れて「もっと良いものを」と考えすぎたのかな?

メンバーA

そうですね・・・最上志向が暴走しちゃいました。すみません。

次は最上志向を緩めて自分では6割の感覚でも、一度ご相談するようにします。

※最上志向…とにかく良いものを追及する「もっともっとの天才」

この会話で何が起きたのかと言うと、上司Bさんが「最上志向」という共通言語を使って会話をしたことで、メンバーAさん自身が「なぜうまくいかなかったのか」という理由を自覚することができました。

これによってAさんは責められた!という感覚ではなく、次は自分の資質をコントロールすればうまくいくんだな、という認識を持つようになります。

これはまさに、失敗経験の理由を理解し、次はその経験を活かせるような具体的な工夫を見つけたことによって失敗をうまく転換できた状態です。

ケース②:メンバーAさんを褒めてあげたい!

■Before

上司B

Aさん、この前の会議室のセッティング、完璧だったよ!やるじゃん!

メンバーA

あ、はい。ありがとうございます。(なんか圧がすごいなぁ・・)

この会話を、ストレングスファインダーの資質を共通言語として使うとどう変化していくでしょうか。

■After

上司B

この前の会議室のセッティング、Aさんの共感性でとても細かいところまで気遣いがされていて嬉しかったよ。ありがとう!

メンバーA

えっ、あれは共感性だったんですね。ありがとうございますっ!

(見てくれていたんだ、うれしい!またやろう!)

※共感性…相手の状況に自分を置き換えて考える、「相手の気持ちがわかる天才」

この会話、どちらも上司Bさんは褒めていますが、Beforeでは全く伝わっていないですよね。
でも共通言語としてAさんのつよみである「共感性」という言葉を使ったことで、一気に変わっていきました。

共感性を上位資質として持つ方は、相手の気持ちや感情がわかるし、わかりたい、という優しさがあります。
Aさんはこの共感性を自然に使って、会議の関係者が求めていることや嬉しいことを先読みして会議室をセッティングしていたんです。

上位資質は本人も気が付かないところで発揮していることが多いため、このようにAさんの言動と資質を紐づけてあげることで、本人が自覚して共感性という才能を次の場面で活かせるよう、再現性を高めることにつなげることができます。

まさにこれが、経験学習サイクルを回せている状態ですね。

さらには、共感性さんが言われて最もうれしい「ありがとう!」という感謝の言葉が、上司からの「見ているよサイン」となり褒める以上に存在を承認することができました。

こうして、部下であるAさんは上司であるBさんへの信頼を少しずつ積み重ねていくことができます。

ケース③:上司Bさんが従来のやり方を変えてしまった!

■Before

上司B

Aさん、この前の件だけど、やり方をこっちの方法でやってみようと思うからよろしくね!

メンバーA

え、以前のやり方をなぜ変えられたんですか?

私が担当する部分はどこまで変わりますでしょうか?

上司B

あなたは柔軟性が足りないね。もっと臨機応変にできるようにならないといけないよ。

メンバーA

はい・・・分かりました。(私の課題は柔軟性が足りないことなのか・・・)

この会話、今までやってきたことをBさんが急に方法を変えたようで、Aさんは戸惑ってしまいました。

Aさんはその理由が知りたかったのですが、Bさんにとっては「返事ひとつで即対応しない柔軟性が足りない人だ!」という印象になってしまったのです。

ではこれを、ストレングスファインダーを共通言語として会話してみるとどう変化していくでしょうか。

■After

上司B

この前の件だけどやり方をこっちでやってみようと思うんだ。

Aさんの責任感戦略性として確認しておきたいことはあるかな?

メンバーA

はい!

しっかりやり遂げたいので、確認してもいいですか?

以前のやり方をなぜ変えられたんですか?私が担当する部分はどこまで変わりますか?

上司B

あぁ、実はね、別件で▲▲があってそれを踏襲してできそうだから、この部分は隣のチームのCさんにやってもらおうと思っているんだ。

メンバーA

わかりました、ではここまでやった部分はそのままCさんに引き継いで、私のほうでは●●を作っておきましょうか?

上司B

ありがとう、助かるよ!この部分は君に任せるね。

その責任感戦略性を活かして最後までよろしくね。

メンバーA

はい!ありがとうございます!

※責任感…自分がやると言ったことは最後までやり遂げたい、「有言実行の天才」

※戦略性…全体像を見てあらゆる可能性を探る、「構造とパスを見抜く天才」

責任感とは、何があろうと任されたことを最後まで絶対にやり遂げる資質。
そのため、今回の変更でどこまで自分がやるべきなのか担当範囲を明確にしたいんですね。

そして戦略性は全体像をとらえて最短ルートを見つける資質。
ゴールが変わったとなれば、そのルートを変更するべく情報を素早く整理し、ベストな方法や万が一納期に遅れそうなときにバックアッププランを持てるような方策を見つけるために様々な情報を確認したかったんです。

そんな頼もしい2つの資質を持つAさんにとって、リーダーBさんからの「君に任せる!」は信頼して背中を押してもらえると感じる、とっても嬉しい言葉なんですよね。

このケース、Beforeの会話では最終的にAさんには「柔軟性がない」という足りていない部分が課題として認識されてしまいました。

でもAfterでは、共通言語によって誤解がなくなり、責任感戦略性というAさんのつよみをもっと活かそうという話につながりました。

共通言語は、心理的安全性を生み出す最大のツールとなる

ここまでの会話でみなさん、お気づきかもしれません。

マネジャー自身が無自覚に自分の価値観ややり方に縛られてしまっていると、違うやり方をするメンバーに対して低く評価してしまうという危険性があります。

ですのでこのような会話をする大前提として、マネジャー自身が自分が過去にどんな成功体験を持っていて、どういった価値観を持っているのか、そして相手とはどう違うのか、という点をしっかりと理解しておかないとこうした対話は成り立たないのです。

※詳しくはこちらの記事をご覧ください

このように、ストレングスファインダーの「つよみ」をチームの共通言語として活用していくことで、話しやすい、助け合いやすい雰囲気をつくりだしていくことができます。

またGallup社の調査によると、「つよみ」に着目しているチームは、生産性・利益率・退職率において大きな差を出しているということも分かっています。

このようなつよみをベースとした対話をマネジャーが先導していくことで、メンバーも自分の発言を受け入れてくれるだろう、といったポジティブな感情が根付き、心理的安全性の高いチームをつくっていくことができます。

部下との1on1で何を話したらいいか分からない!というマネジャーの声をよく聞きますが、ぜひストレングスファインダーを活用した会話で進めてみてください。

ストレングスファインダーの資質を活用する場合は、「決めつける」のではなく「質問で使う」ことを忘れずに!

いきなり会話として取り入れるのが難しいな、と感じる場合は、仕事の時ではなくランチ会のようなオフの場で遊び感覚で初めてみるのもオススメです。

ぜひストレングスファインダーをチームの共通言語にして、私たちと一緒に、心理的安全性の高いポジティブなチーム文化をつくりあげていきましょう!

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心理的安全性を高める「共通言語」のつくり方について、ホワイトペーパーとしてまとめています。
ぜひご活用ください♪