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サーベイのスコアは「成績表」ではない!チームのエンゲージメントを高める“職場対話”の仕掛け方

エンゲージメントサーベイは実施しました。この後どうしたら良いでしょうか…?

このような声を、組織・人材開発の現場でたびたび耳にすることがあります。

エンゲージメントサーベイを導入する組織・チームが、この数年で一気に増えました。人的資本経営への注目が高まり、上場企業ではスコアの開示を求められる場面も出てきています。

しかし、サーベイの結果は出たものの、そこから先のアクションにつながらない。翌年になれば、また同じ調査を回している。
そんな状態に陥っているチームは、決して少なくありません。

なぜ「数字」は出るのに、「変化」は起きないのでしょうか。
本コラムでは、その原因を紐解きながら、チームのエンゲージメントを高めるために欠かせない「職場対話」の仕掛け方について解説していきます。

なぜいま、エンゲージメントが注目されているのか

エンゲージメントの低さは、「経済的な損失」である

エンゲージメントサーベイが注目されている背景のひとつにあるのが、米国Gallup社による調査です。

Gallupが2024年に実施した調査結果によると、従業員エンゲージメント(組織エンゲージメント)が低い状態にあると経済的な損失を被るということが、研究として明らかになってきました。同社の試算によると、その損失は世界GDPの約9%(約8.8兆ドル)にのぼるとされています。

つまりエンゲージメントは、単なる「従業員の気持ちの問題」ではなく、生産性や経済効果に寄与していくものだということです。
そこが明らかになってきたことで、「やっぱりエンゲージメントは大事だよね」と言われるようになってきました。

そして日本に目を向けてみると、さらに深刻な状況が見えてきます。

「熱意あふれる(Engaged)」層は、世界平均が23%であるのに対して、日本はわずか6%(※)。
一方で「不満層(Disengaged)」は、世界平均15%に対して日本は23%と、世界平均を上回っています。
※2025年の調査では7%に上昇

なお、「Not Engaged(やる気がない)」層と「Disengaged(不満層)」は異なります。
前者は業務はこなすものの熱意を伴わない状態、後者は不満を抱えながら働き、周囲の意欲にもマイナスの影響を与えてしまう状態を指します。

チーム間の差を生む要因の70%は「マネジャー」

もうひとつ、押さえておきたい調査結果があります。

同じくGallup社の調査によると、チームごとにエンゲージメントの高い低いという差が生まれる理由の7割は、マネジャーに起因すると言われています。

この数字は、マネジャーにとってなかなか重いものではないでしょうか。

エンゲージメント向上の施策は、多くの場合、人事部門から現場のマネジャーへと降りてきます。ところが、その結果を左右するのはマネジャー自身であると学術的にも言われてしまい、それでいて具体的な打ち手は自分で考えなければなりません。

数字は出た、責任の所在も示された、けれど次に何をすればいいのかは分からない。

そのような状態のまま孤独な戦いを強いられているマネジャーは、決して少なくないのです。

サーベイが「取りっぱなし」になってしまう、3つの理由

スパークルチームがさまざまなチームのご支援に入るなかで見えてきたのは、問題はサーベイそのものではなく、その「あと」に何も設計されていないことにある、という事実でした。

その要因は、大きく3つに整理することができます。

理由①:スコアが「成績表」になってしまっている

サーベイの結果が人事評価と地続きになっていたり、経営層から「なぜこの数字なのか」と問われる材料になっていたりすると、その瞬間からスコアは「成績表」になってしまいます。

成績表になったスコアは、現場にオープンにすることができません。データは人事部門やマネジャーの手元で抱え込まれ、メンバーは自分たちが答えた結果を知らないまま。焦りや不安だけが残り、肝心の対話が始まらないのです。

とあるチームでは、エンゲージメントサーベイ、ES調査、ストレスチェックなど、アンケートだけで5つほどが並行して走っていました。回答する側は何のための調査なのかが分からず、結果としてどれも活用されないまま終わってしまっていたのです。

理由②:マネジャーが一人で抱え込んでしまっている

現場に近いマネジャーの多くは、プレイングマネジャーです。自分の業務を抱えながらチームの状態にも責任を持ち、そのうえ施策まで一人で考えるとなれば、手が止まってしまうのも無理はありません。

実際、マネジャーの方々からはこんな声が挙がってきます。

スコアの結果に一喜一憂して終わってしまい、対策が打てていない…。

チーム内での対話や施策が不足しているものの、時間がない…。

一人ひとりの状況を把握しきれていない。ピープルマネジメントに何が必要か見えない…。

これらはいずれも、マネジャー個人の力量の問題ではありません。

共通しているのは、スコアという材料は手元にあるのに、それをチームで開いて一緒に考えるという回路がないまま、解釈も打ち手もマネジャー一人に集まってきてしまっている、という構造的な課題です。

理由③:メンバーが「誰かが変えてくれるもの」と捉えている

さらに見落とされがちなのが、答える側の意識です。

エンゲージメントという言葉は、どうしても「会社が」「上司が」「環境が」高めてくれるもの、というニュアンスで受け取られがちです。
しかしながらエンゲージメントは、一人ひとりの状態の集積として、チームの結果に表れていくものです。

メンバーが「周りが変えてくれるもの」というスタンスでいる限り、スコアはいつまでも他人事のままとなってしまいます。

つまり大事なのは「数値」そのものではなく、その裏側にある「対話」です。

各種調査は、あくまで対話をするための材料でしかない、ということです。

職場対話を生む3つの仕掛け

では、どうすれば「調査」を「対話」へとつなげられるのでしょうか。
ここからは、サーベイの種類を問わず応用できる3つの仕掛けについて解説します。

仕掛け①:人事評価から切り離し、結果を現場にオープンにする

最初にすべきことは、スコアの位置づけを先に宣言することです。

「この調査は人事評価には使わない」
「数値の高い低いを問い詰めるためのものではない」

この前提を共有するだけで、現場の心理的なハードルは大きく下がります。

そのうえで、結果は現場にオープンにしていきます。
人事部門や上司がデータを抱え込む必要がなくなれば、メンバーも自分たちの結果を自分たちのものとして受け取ることができるようになります。

なお、設問の分かりやすさも、対話の質を左右する大事な要素です。
「これは何を聞かれているんだろう?」と回答者が迷ってしまうような設問では、あとから結果をもとに話し合うことができません。対話を前提にするのであれば、設問はできる限りシンプルであるべきです。

仕掛け②:主語を「私は」に変える問いを混ぜる

一般的なエンゲージメントサーベイの設問は、「私のチームでは〜」というチームの状態を問うものが中心です。

もちろんそれも必要なのですが、そこに「私は〜」を主語にした設問を混ぜることをおすすめします。

  • ⚫︎ 私は、課題が発生したときに積極的に関わっている
  • ⚫︎ 私は、仕事を通じて毎日自分の強みを活かせていると感じる場面がある
  • ⚫︎ 私は、相手の役職や経歴にかかわらず、チームの中で自分の意見を発信している
  • ⚫︎ 私は、定期的に自己成長のための機会をつくっている

主語が「私」になると、回答する行為そのものが振り返りになります。
「あ、これは自分、できていないな」という気づきが、その場で生まれるのです。

エンゲージメントを、“誰かが変えてくれるもの”から“自分は何ができるのか”へ。

その転換のスイッチを、設問の中に仕込んでおくということです。

仕掛け③:ポジティブな設問だけで終わらせない

エンゲージメントサーベイの設問は、どうしてもポジティブな内容に偏りがちです。しかし、チームの本質的な課題は、少し見たくない領域にこそ潜んでいます。

たとえば、感謝や称賛は交わされていても、

「お互いの課題に対して耳の痛いフィードバックをしあえているか」
「役職や経歴にかかわらず、異なる意見でも議論や対話がされているか」

となると、途端にスコアが落ちてしまうチームは少なくありません。ここが、成果を出し続けられるチームとの分かれ目になっていきます。

また意外に思われるかもしれませんが、「ユーモア」も近年研究が進んでいる領域です。

チームにユーモアがあるだけで発言やアイデアの出やすさが変わり、くすっと笑い合うことが認知の柔軟性を高めるという知見も蓄積されています。
これは、イノベーションを生み出していくうえで、決して軽視できない要素なのです。

そして「職場での孤独」も、直接測っておく価値のある観点です。

孤独を感じている、疎外されているように感じる、といった感覚は、日々の業務のやりとりのなかからはなかなか見えてきません。

これらはいずれも、対話の場でいきなり口に出すのが難しいテーマばかりです。
だからこそ、サーベイという“共通言語”を挟むことで、初めて話題にすることができるようになります。

対話の材料をつくる「スパークルチーム・インサイトチェック」

こうした考え方を形にしたのが、私たちが開発・提供している組織の対話ツール 「スパークルチーム・インサイトチェック」 です。

「スパークルチーム・インサイトチェック」は、一般的なエンゲージメントサーベイが「チームの状態を評価する」ことを主眼に置くのに対し、「チームの中でいかに対話が生まれるか」を前提に設計されています。

特徴的なのは、「個人の自律性」に着目している点です。

チームの状態だけでなく、個人の自律とマネジャーのマネジメント、その3つのバランスと相関を見ていきます。これは、ウェルビーイングを「今」だけでなく「5年後」まで問うのも、メンバーの視点を未来に向けていただくためです。

また、スパークルチーム・インサイトチェックの設問設計のベースにあるのは、Gallup社のエンゲージメントサーベイ「Q12」です。

エンゲージメントは1990年代に学術的に提唱された概念ですが、それをビジネスシーンで活用できる形に落とし込んだ先駆けが、このQ12だと言われています。
この12個の設問を参考にしつつ、そこに「最高のチーム」に欠かせないと考える観点を独自に加えました。

■Gallup社エンゲージメントサーベイ「Q12」

No.質問項目
Q1職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2仕事をうまく行うために必要な材料や道具(環境)を与えられている
Q3職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4この7日間(1週間)のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5上司や職場の誰かが、自分を一人の人間として気にかけてくれている
Q6職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7職場で自分の意見が尊重されていると感じる
Q8会社のミッションや目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10職場に親友がいる
Q11この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩(成長度合い)について話してくれた
Q12この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

■Q12にスパークルチームが独自で加えた観点

  • ⚫︎ ミッションの、より具体的な浸透度合い
  • ⚫︎ 課題に対するリーダーおよび個人の関与度合い
  • ⚫︎ 異なる意見や、耳の痛いフィードバックができているか
  • ⚫︎ ユーモアを交えた会話や施策があるか
  • ⚫︎ メンバー全員がお互いの強み・弱みを理解し、力を貸し借りできているか
  • ⚫︎ 改善・改革(イノベーション)が生まれているか

そのほか、Google社のre:Workによる心理的安全性の知見や、内発的動機づけに関するモチベーション理論なども踏まえ、学術的な裏付けを持ちながら、現場で使える実践的なツールとして構成しています。

ただし、精度の高い設問をつくることそのものが目的ではありません。大切なのは、出てきたスコアをチームの対話へとつなげていくことです。

「スパークルチーム・インサイトチェック」では、スコアを確実にチームの対話へとつなげるため、調査から実践までを次の4つのステップで進めていきます。

なお、スコアのフィードバックだけでなく、コンサルタントの見立てや「次にこんな対話をしてみてはどうでしょうか」という提言を含んだレポートをお渡ししています。

ゼロから「さあ対話しよう」と言われても何を話せばいいか分からない。そのハードルを下げるところまでが、対話ツールの役割だと考えているからです。

なお、どんなに精度の高いサーベイでも、対話ワークを飛ばしてしまうと現場には落ちていきません。 これはインサイトチェックに限らず、すべてのサーベイに共通して言えることです。

【事例紹介】インサイトチェックを活用した3社の変化

A社(営業系)|対話の習慣化で、チーム力が3.07→4.22へ

A社の営業組織は、リモートワーク主体の若手中心チームです。業績は好調だったものの、業務過多とコミュニケーション不足からメンバーが疲弊している状態でした。

今回のサーベイで見えてきたのは、仲は悪くないはずなのに、耳の痛いことや課題については言い切れていない、という実態です。

そこで5か月間伴走し、「チームとは何か」「人と自分の違い」を全員で考える時間を取り、ありたいチーム像に向けた約束事を自分たちで決めていきました。

結果としてこのチームのチーム力は3.07から4.22へ、孤独度も16.4から11.0へと改善しています。

このチームで印象的だったのは、「課題が発生した際に、トップリーダーが積極的に関与している」という設問のスコアが大きく上がったことです。

実は、リーダーご本人の行動が施策の前後で大きく変わったわけではありませんでした。
変わったのは、周囲からの見え方だったのです。

リーダーが何をしているか以上に、メンバーがそれをどう受け取っているかが、チームの風土を左右していく。ここは、定量化してみて初めて気づけたポイントでした。

B社(研究開発系)|高スコアのチームにも、次の一手はある

B社の研究開発チームは、チーム力、個人の状態、幸福度、孤独度の指標すべてが良好な水準にありました。
意見を出し合える風土やオンボーディングの体制も機能しており、「改めて、自分たちはいいチームなんだ」と確認できたこと自体を、メンバーのみなさんも喜んでいました。

しかし、約30問の設問を個別に見ていくと、別の側面が見えてきます。

まず、人によってスコアの差が大きいこと。
そして「週1回以上の称賛や、つよみへのフィードバック」の設問だけが他と比べて極端に低いことが分かりました。
あわせて、マネジャーのマネジメントにも課題が見受けられました。

そこで、これらのスコアを細分化し、第三者の視点も入れたうえで対話を実施。
メンバー同士の横のつながりという強みは活かしながら、フィードバックのあり方とチームの目指す方向を検討していくことになりました。

スコアの高い低いだけでは見えてこないテーマが、設問単位で見ていくことによって浮かび上がってきた事例です。

C社(製造系)|普段の仕事では見えない、世代間の断層

C社の製造チームは、若手からベテランまで幅広い年代が集まる組織です。

スコアとしては、個人の役割理解は低くないものの、孤独度がやや高く、幸福度がやや低い結果でした。

さらに年代別に見ていくと、40〜55歳のミドル・ベテラン層において「ミッションの対話」や「改善改革への意欲」のスコアが低い傾向にあることが分かりました。
日々のルーティン業務に追われるなかで、組織の目的意識や横のつながりを見失っていたのです。

スコアを受け取ったC社からは、「メンバー一人ひとりともう少し時間を取らないといけない」「ミッションやチームの方向性をもっと話し合いたい」といった声が挙がり、業務連絡以外の対話量を増やす取り組みや、ミドル層を巻き込んだミッションの対話会が検討されることになりました。

社歴や役職階層ごとの状態も、スコアにしてみて初めて見えてくるものなのかもしれません。

対話から始めて、マネジメントに希望と喜びを

ここまででご紹介した3社の事例に共通しているのは、スコアの高い低いそのものが本質ではない、ということです。
大切なのは、その数字を材料にチームで何を話したか。そして、話した結果として何を決め、実践したか、というところにあります。

最後に、みなさんのチームづくりにぜひ取り入れていただきたいことを、4つに整理します。

⚫︎ 対話をする

どんなサーベイであっても、取りっぱなしでは何も変わりません。すでに社内で実施しているものがあるなら、それを材料に、まずは話してみることから始めてください。

⚫︎ 個人の自律性を促す

 「周りや環境が変えてくれる」というスタンスのままでは、チームの状態は変わりません。一人ひとりが「自分は何ができるか」を考えるきっかけを、意図的に仕掛けていきましょう。

⚫︎ マネジャーが抱えすぎない 

マネジャーは、指示を出しすべてを担う人ではありません。メンバーの良さやつよみをつなぎ合わせていく役割です。エンゲージメントも、一人で背負うものではないのです。

⚫︎ 具体的な施策を、自分たちで決めて実施する

 「自分たちでこう決めた」「自分たちはこうありたい」と言えるチームは、本当に強いチームです。

マネジメントは、悩ましいものです。けれど本来は、もっと希望と喜びに満ちた仕事のはずです。

チームづくりに悩むことがこの先もなくならないのだとしたら、その悩みごと、楽しみながら前向きに取り組んでいける状態をつくっていきましょう。

メンバーが自分たちで自律的に動き出し、生き生きと働くチームへ。その一歩は、対話から始まっていきます!


スパークルチームでは、「スパークルチーム・インサイトチェック」による現状把握から、結果を活かした対話ワーク、その後の実践まで、一貫してご支援しています。ストレングスファインダーやシステムコーチングと組み合わせた施策のご提案も可能です。

「サーベイは取っているけれど、その先に進めない」

そんな課題をお持ちの人事・組織開発ご担当の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
企業の課題や状態に合わせて、最適なプランをご提案させていただきます!

ぜひ一緒に、対話からスパークルするチームをつくっていきましょう!

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\ サーベイ結果を対話と改善行動につなげたい方へ/

「サーベイを実施したものの、結果の共有や改善の進め方が分からない」「現場マネジャーだけでは対話を進めにくい」という場合は、スパークルチームの伴走型エンゲージメント向上研修をご活用ください。
チームの状態の可視化から、課題と強みの整理、ストレングスファインダーを共通言語とした対話、改善行動の決定までを一貫して支援します。

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