
世論調査のグローバル企業である米国Gallup社が開発した、個人の強みの源泉を発見し、強みの相互依存チームを醸成するためのアセスメントツール、ストレングスファインダー(正式名称「クリフトンストレングス」)。
従来の「弱点を克服する」というアプローチとは異なり、「強みに着目し、それを磨き育てる」ことを前提にしている点が大きな特徴です。
このアセスメントを受検すると、一人ひとりが無意識に繰り返している思考や行動のパターンが34の資質として整理され、ランキング形式で表示されます(プランによっては上位5つまで)。
今回ご紹介するのは、その34資質の中でも、日本人受検者のTOP5の資質として7番目に多く登場するとされる「回復志向」です。
回復志向は、周囲が見過ごしている問題にいち早く気づき、原因を突き止めて本来あるべき姿へと立て直していくことで、チームの前進を支える資質です。
一方で、問題に自然と目が向く性質が行き過ぎると、「いつも批判的」「ネガティブ」と誤解されてしまったり、問題の矢印が自分自身に向いて落ち込みすぎてしまったりすることがあります。
この記事では、回復志向の特徴や強みだけでなく、資質を活かしきれずに起こりがちな「もったいない使い」とその対処法、さらに才能を「強み」へと育てるための「強み開発レシピ」まで、分かりやすくご紹介します。
ゲスト登場【ストレングスファインダー資質理解】「回復志向」編:問題修復の天才♪
回復志向とは?〜本来あるべき姿を取り戻す、問題修復の天才〜

回復志向をひとことで表すなら、「問題修復の天才」です。
情熱的であり、しかもその熱意を自然に人に分け与えることができる資質です。
問題を解決することが大好きで、どこに問題があるのかを探り当て、元通りに直すことを得意とする資質です。
日々の問題に解決志向で取り組み、他の人が「もう救いようがない」と感じているプロジェクトでさえ、喜んで引き受けます。さらなる困難に遭遇するとむしろ力が湧き、物事が本来あるべき姿に回復していくことを、何よりも素晴らしいと感じます。
困っている人を放っておけず、問題を見て見ぬふりをしたまま進めていくやり方は好きではありません。
英語では「Restorative(レストラティブ)」と呼ばれ、その名のとおり、壊れたものや滞ったものを「元の良い状態に戻す」力を持っています。
ひとつ興味深いのは、回復志向が力を発揮するためには、「目指す完成形」がはっきりしていることが大切だという点です。健康な体、スムーズに動く機械、仕上がった制作物——あるべき姿がクリアだからこそ、そこから「欠けているもの」がキラリと見えてくるのです。
仕事でも、ゴールや品質基準が明確になっているほど、回復志向の目は鋭く働きます。
なお、対照的な資質としてよく挙げられるのが「最上志向」です。
最上志向が「すでに優れたものを、さらに偉大なものへと高めたい」と考えるのに対し、回復志向は「壊れたものや欠けたものを、本来あるべき姿に直したい」と考えます。
同じ「より良くしたい」という思いでも、最上志向は強みや卓越性に、回復志向は問題や不足に目を向ける——出発点が異なるからこそ、両者がそろうと「土台を立て直し、そのうえで磨き上げる」という流れが生まれます。
どちらもチームに必要な視点であり、補い合える関係にあります。
回復志向は、ストレングスファインダーの34資質を4つに分類したうちの「実行力系資質群」に属しています。
実行力系資質群とは、物事を成し遂げる・完遂することに喜びを覚える資質のあつまりで、「結果を出したい・いかにしてやり遂げるか」を大切にしながら、アイデアや計画を確実に形にしていくことを得意としています。
回復志向の場合、目の前の問題や障害を一つひとつ取り除いていくことで、止まりかけた仕事やプロジェクトを再び前へと動かしていきます。
回復志向の“強み使い”と“もったいない使い”
【強み使い】回復志向のここがすごい!
回復志向を上位に持つ方は、「問題を解決して喜ばれると自分もうれしい」「見えている問題を放置したくない」という思いを原動力に、仕事でも日常でも自然と問題の解決に乗り出していきます。
ここでは、回復志向らしさが発揮される代表的な特徴をご紹介します。
⚫︎ 周囲が見つけられない問題に、いち早く気づく
回復志向の目には、人や仕組みの弱点、プロセスのほころびが自然と飛び込んできます。
資料の数字の食い違い、業務フローの抜け漏れ、顧客の声に潜むクレームの予兆。周囲がまだ気づいていない小さな違和感の段階で問題を捉えられるので、大きなトラブルになる前に手を打つことができます。
⚫︎ 原因を突き止め、的確に直す
問題の状況を分析し、考えられる欠点を特定して、必要な修正を行う勇気と創造性を持っています。
表面的な応急処置で終わらせず、「なぜそれが起きたのか」まで掘り下げていくため、同じ問題を繰り返さない仕組みづくりにもつながります。
⚫︎ 「救いようがない」状況ほど、力が湧いてくる
炎上しているプロジェクト、立て直しが必要な部署、誰もが手を出したがらない案件。回復志向は、そうした状況をむしろ喜んで引き受けます。
困難に遭遇するほど力を得て、それを乗り越えることに充実感を覚えるため、チームにとって「あの人がいれば立て直せる」という心強い存在になります。
⚫︎ 障害を取り除き、チームを前に進める
回復志向にとって、問題を解決することはごく自然なこと。だからこそ周囲は、障害を取り除いて前進させるその力を、安心して頼りにすることができます。
メンバーがつまずいているときに、行く手をふさいでいる障害物を見つけて取り除き、仕事を再び流れに戻す。こうした働きは、チームの生産性を静かに、しかし確実に支えています。
⚫︎ 困っている人を、放っておけない
同僚の悩みや後輩のつまずきに気づくと、自然と「どうしたら解決できるか」を一緒に考え始めます。
日常でも、家電の不調を直したり、友人の相談に乗って解決の糸口を見つけたりしている方が多いはずです。「あの人に相談すれば何とかしてくれる」という信頼は、回復志向ならではの財産です。
【もったいない使い】回復志向のもったいない「あるある」
回復志向は、問題を解決してチームを前進させる資質である一方、問題に目を向ける力の向け先や伝え方によっては、自分自身や周囲を苦しくさせてしまうことがあります。
ここでは、回復志向を上位に持つ方によく見られる「もったいない使い」をご紹介します。
⚫︎ 問題の矢印が「自分自身」に向いてしまう
問題を見つける鋭い目が、「自分の適性や性格」に向いてしまうと、自分を批判しすぎて深く落ち込んでしまうことがあります。
あまりに高い目標と今の自分を比べて「自分はこういうところがダメだ」と性格そのものを直そうとしてしまう。本来は周囲の問題を解決できる貴重な才能が、自分を責めることに使われてしまうのは、とてももったいないパターンです。
⚫︎ 指摘ばかりで、「批判的」「ネガティブ」と誤解されてしまう
人や環境の弱点に自然と目が向くため、気づいた問題点をそのまま伝え続けていると、「あなたはネガティブ思考すぎる」「いつも文句ばかり言っているよね」と受け取られてしまうことがあります。これらは、回復志向にとって特に心が痛むNGワードです。
本人は「より良くしたい」「困る人を出したくない」一心なのに、新しい企画に対して真っ先にリスクや不足点を挙げる姿だけが印象に残り、せっかくの問題発見力が正当に評価されなくなってしまいます。
⚫︎ 難しい問題にばかり惹かれ、手元の問題を抱え込みすぎてしまう
困難な仕事ほどやりがいを感じるため、手間はかからないのに大きな成果をもたらす問題を、つい後回しにしてしまうことがあります。 さらに、困っている人を放っておけない気持ちから、他人の問題まで次々と引き受けてしまい、気づけば自分の本来の仕事が圧迫されている——ということも起こりがちです。
「もったいない使い」への対処法
回復志向の「問題を見つけたら、直したい」という気持ちは、決して抑え込む必要はありません。
大切なのは、問題から目をそらすことではなく、その力を向ける「矢印の先」と「伝え方」をコントロールすることです。そのためにはまず、「あ、いま問題を自分の性格のせいにしているな」「指摘だけで終わっているな」と客観的に気づくこと。この自己認識が、すべての出発点になります。
そのうえで、先ほどの3つの「もったいない使い」それぞれに対応するヒントをご紹介します。
⚫︎ 矢印を「性格」から「変えられる行動」へ向け直す
落ち込みそうになったら、「本来解決したい問題は何か」を一度立ち止まって特定してみましょう。
「自分は段取りが下手な性格だ」ではなく、「週の始めにタスクを洗い出す時間がない」と捉え直せば、それは工夫で解決できる具体的な問題になります。性格や人間性を否定するのではなく、具体的に変えられる行動や工夫に焦点を当てることで、回復志向の力は本来の「修復」に向かっていきます。
⚫︎ 「指摘」は「目指す姿」と「修復案」をセットにして伝える
問題点だけを伝えるのではなく、「この企画をもっと良くするために」とゴールを先に共有し、「ここを直すと、さらに成果が出そう」と修復案を添えて伝えましょう。同じ内容でも、批判ではなく前進のための提案として受け取られるようになります。
また、自分が問題に目を向けるのは「チームをより良い状態にしたいから」だと、周囲に言葉で伝えておくことも効果的です。伝え方に迷うときは、ポジティブや共感性などを上位に持つメンバーに力を借りるのもひとつの方法です。
⚫︎ 「インパクト」と「手間」で問題を仕分け、任せる勇気を持つ
取り組む問題を「成果へのインパクト」と「解決にかかる手間」で仕分けてみましょう。簡単に解決できて大きな成果をもたらす問題から着手するだけで、チーム全体の前進は一気に加速します。
また、すべての問題を自分で解決しようとせず、「これは自分が直すべき問題か」を確認する習慣を持ちましょう。アレンジなどを上位に持つメンバーに仕事の割り振りを相談すれば、抱え込みを防ぎながら、自分は本当に力を発揮すべき問題に集中できます。
回復志向を「強み」に育てる!強み開発レシピ

資質を強みに変える方程式
ストレングスファインダーの資質は、その人自身がもともと持っている「才能」です。スパークルチームでは、この資質を「道具」のようなものだと考えています。
どんなに優れた道具でも、使い方を知らなければ十分に力を発揮することはできません。一方で、使い方を学び、経験を重ねて磨いていくことで、その人ならではの大きな強みへと育てることができます。
では、資質を「強み」に変えていくにはどうすれば良いのでしょうか。
ストレングスファインダーの基本となる考え方のひとつに、次の重要な公式があります。
強みの方程式: 資質(才能)× 強み開発レシピ(投資行動)= 強み(能力)
資質は、もともとその人の中にある思考・感情・行動パターンの傾向(=才能)です。
そこに、知識や経験、スキル、人脈などをより磨いていくための”投資行動”を重ねていくことで、はじめて「強み」へと育っていきます。
回復志向の強み開発レシピ
回復志向を強みへと育てていくために、意識したい投資行動をご紹介します。
この投資行動を、スパークルチームでは「強み開発レシピ」と呼んでいます。
ここでご紹介するのは、あくまで一例です。料理のレシピと同じように、自分に合うものを取り入れながら、自分だけのレシピへと育てていきましょう。
⚫︎ 「他の人が避けるが、好転が見込まれる状況」に挑む
長年放置されてきた業務課題や、立て直しが必要なプロジェクトなど、周囲が敬遠しがちでも、手を入れれば好転が見込まれる状況を意識的に探してみましょう。
挑戦そのものを楽しみながら、「この人に任せれば直る」という能力と評価を高めていくことができます。修復した実績を記録してチームや上司と共有しておくと、自分の対処能力を実感でき、次の挑戦への自信にもつながります。
⚫︎ 足りない知識・技術を「埋める」機会を自分でつくる
自分の仕事の進め方や足りないスキルを「課題」として特定し、それを解決するための研修や資格取得、書籍、詳しい人から学ぶ機会などを具体的に計画しましょう。
性格は直す対象ではありませんが、知識や技術は改善できる問題です。「そこを埋めると自分が成長できる」という感覚は、回復志向にとって最も自然な成長のエンジンになります。
⚫︎ とことん向き合える時間と、話を聴いてくれる相手を持つ
うまくいかないとき、回復志向はあえて落ち込むことで、問題と徹底的に向き合いたいこともあります。無理に気持ちを切り替えさせられるよりも、その状態を理解して話をよく聴いてもらえることが、この資質にとって何よりの栄養になります。
上司や信頼できる同僚に、「落ち込んでいるように見えても、いまは問題と向き合っている時間」だと伝えておきましょう。1on1などで問題の原因を一緒に整理してもらえる場があると、回復志向はより早く、より力強く立ち上がることができます。
\ 組織やチームとしてストレングスファインダーを活かす方法や研修はこちら /
まとめ
回復志向は、周囲が見過ごしている問題にいち早く気づき、原因を突き止めて本来あるべき姿へと立て直していく資質です。「救いようがない」状況にも果敢に踏み込み、障害を取り除いてチームを前へ進める力を持っています。
一方で、問題を見つける力の矢印が自分自身に向いたり、指摘ばかりが目立ったりすると、落ち込みすぎてしまったり、「批判的」「ネガティブ」と誤解されてしまったりすることがあります。だからこそ大切なのは、問題から目をそらすことではなく、「性格ではなく変えられる行動に目を向け、指摘には修復案を添える」という力の向け方を意識することです。
また、ストレングスファインダーで示される資質は、あくまでその人が持つ「才能」の一部です。同じ「回復志向」を持っていても、ほかの資質との組み合わせや経験、置かれている環境によって、その現れ方は一人ひとり異なります。
「当てはまる」と感じた部分も、「自分とは少し違う」と感じた部分も含めて、自分らしい回復志向の活かし方を見つけていくことが大切です。
ぜひ、問題を修復する才能をあなたらしい強みへと育て、仕事や人生のさまざまな場面で活かしてみてください!
「回復志向」の解説を音声で聴きたい方はこちらから
ゲスト登場【ストレングスファインダー資質理解】「回復志向」編:問題修復の天才♪
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