
世論調査のグローバル企業である米国Gallup社が開発した、個人の強みの源泉を発見し、強みの相互依存チームを醸成するためのアセスメントツール、ストレングスファインダー(正式名称「クリフトンストレングス」)。
従来の「弱点を克服する」というアプローチとは異なり、「強みに着目し、それを磨き育てる」ことを前提にしている点が大きな特徴です。
このアセスメントを受検すると、一人ひとりが無意識に繰り返している思考や行動のパターンが34の資質として整理され、ランキング形式で表示されます(プランによっては上位5つまで)。
今回ご紹介するのは、その34資質の中でも、日本人受検者のTOP5の資質として8番目に多く登場するとされる「着想」です。
着想は、新しいアイディアや概念に心を惹かれ、既成概念にとらわれない自由な発想で、チームや組織に新しい価値と革新の種をもたらしていく資質です。
一方で、ひらめきの勢いが強く働くあまり、考えがまとまる前に口にして周囲を振り回してしまったり、「新しさ」にこだわりすぎてゴールにたどり着けなかったりすることがあります。
この記事では、着想の特徴や強みだけでなく、資質を活かしきれずに起こりがちな「もったいない使い」とその対処法、さらに才能を「強み」へと育てるための「強み開発レシピ」まで、分かりやすくご紹介します。
ゲスト登場【ストレングスファインダー資質理解】「着想」編:ひらめきの天才♪
着想とは?〜誰も思いつかなかった新しい視点を生み出す、ひらめきの天才〜

着想をひとことで表すなら、「ひらめきの天才」です。
新しいアイディアや概念に自然と心が惹かれ、ブレインストーミングやディスカッションなど、グループで自由に考えを広げる場を心から楽しむ資質です。
新しい着想が生まれた瞬間には、エネルギーが電流のように走り、「はっ!」「あ、わかった!」と、思いついたことを誰かに話したくてたまらなくなります。
頭の中でポップコーンが弾けるように、次から次へとアイディアが湧き出てくる——そんな感覚に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
誰もが知っている世の中の「当たり前」を取り上げ、それをひっくり返して新しい見方を示すことに喜びを感じ、「変わっているね」は何よりの褒め言葉です。
英語では「Ideation(アイディエーション)」と呼ばれ、その名のとおり、アイディアを生み出すことそのものがエネルギーの源になっています。
なお、対照的な資質としてよく挙げられるのが「調和性」です。
着想が「型にはまらない自由なアプローチで、創造的なイノベーションから優位性を生み出そうとする」のに対し、調和性は「現実的なアプローチで、効率的なコラボレーションから優位性を生み出そうとする」資質です。
発想を大きく広げる着想と、現実的に合意をつくり物事を前に進める調和性は、チームの中でお互いを補い合える関係にあります。
着想は、ストレングスファインダーの34資質を4つに分類したうちの「戦略的思考力系資質群」に属しています。
戦略的思考力系資質群とは、情報を分析し、さまざまな角度から可能性を考えることに長けた資質のあつまりです。「行動する前によく考える時間」を大切にするため、周囲からは何もしていないように映ることもありますが、頭の中では常に思考が動き続けています。
着想の場合、その思考は「まだ誰も考えたことのない、新しい可能性」へと向かい、見た目には共通点のない物事のあいだにつながりを見出しながら、チームや組織に新しい切り口をもたらしていきます。
着想の“強み使い”と“もったいない使い”
【強み使い】着想のここがすごい!
着想を上位に持つ方は、「これまでにない、まったく新しいものや、違う視点のものを生み出したい」というねがいを原動力に、仕事でも日常でも自然と新しいアイディアを生み出そうとします。
ここでは、着想らしさが発揮される代表的な特徴をご紹介します。
⚫︎ 次々と新しいアイディアを生み出せる
着想にとって、アイディアを考えることは「努力」ではなく「喜び」そのものです。企画会議やブレインストーミングの場では、ほかの人が一つ案を出す間にいくつもの案を思いつき、議論の選択肢を一気に広げてくれます。
アイディアの「量」は、良いアイディアにたどり着くための土台。着想がいることで、チームは最初から「もっと良い方法はないか?」を考えられるようになります。
⚫︎ 多様な視点から問題を捉え直せる
行き詰まった課題に対しても、「そもそも前提が違うのでは?」「逆から考えたら?」と、まったく別の角度から光を当てることができます。
たとえば業務改善の場面で、手順の細かな修正ではなく「この作業自体をなくせないか」と発想を転換できるのは、着想ならではの視点です。
⚫︎ 既成概念を覆し、新しい価値を生み出す
着想には、従来の考え方にとらわれず、それをひっくり返すことで新しい価値を生み出す革新のセンスがあります。
新規事業の立ち上げ、新サービスの企画、これまでにない販促アイディアなど、新規性の高い仕事で大きな力を発揮し、組織に変化のきっかけをもたらします。
⚫︎ 一見無関係なものをつなげて、新しい切り口をつくる
見た目には共通点のない現象や情報のあいだに、つながりを見出せるのも着想の特徴です。
異業種の成功事例を自社の課題に応用したり、まったく別の分野の考え方を組み合わせたりすることで、「その発想はなかった!」という切り口をチームにもたらします。
⚫︎ 有益なアイディアの共有で、顧客やチームとの関係を深める
自分のチームや顧客と共有できる有益なアイディアや見解を考えることで、相手のエンゲージメントを高めることができます。Gallupの調査でも、人や組織が顧客に対して意識して何かを教えるようにすると、顧客の忠実度が増すことが明らかになっています。
「こんな見方もありますよ」と新しい視点を届けられる存在は、社内外から「あの人と話すと発見がある」と頼りにされるようになります。
【もったいない使い】着想のもったいない「あるある」
着想は、チームに新しい可能性をもたらす資質である一方、ひらめきの勢いが行き過ぎると、せっかくのアイディアが成果につながらなかったり、周囲との間に摩擦を生んだりすることがあります。
ここでは、着想を上位に持つ方によく見られる「もったいない使い」をご紹介します。
⚫︎ 「新しさ」にこだわりすぎて、ゴールにたどり着かない
前例踏襲や誰かがすでに試した方法は「つまらない」と感じやすいため、試したことのないやり方にこだわりすぎてしまうことがあります。
その結果、既存の方法で十分に達成できるはずの仕事でも新しい方法を模索し続け、納期や本来の目的が後回しになってしまう。新しさそのものが目的になってしまうのは、着想のもったいない使いです。
⚫︎ 思いついたまま発言して、周囲を振り回してしまう
アイディアが浮かぶと、すぐに誰かに話したくなるのが着想です。しかし、会議の途中で思いついた案を次々と投げ込むと、議論が本題からそれたり、決まりかけた話が振り出しに戻ったりすることがあります。
周囲からは「発想が飛ぶ人」「議論をかき回す人」と映ってしまい、アイディアの価値そのものが伝わりにくくなってしまいます。
⚫︎ アイディアが熟す前に出して却下され、意欲を失ってしまう
よく考えて形になる前のアイディアを伝えてしまうと、「現実的じゃないね」「予算がないから無理だよね」と、すぐに却下されてしまうことがあります。こうした言葉や、「平凡だね」「普通だね」という評価は、着想にとって特にエネルギーを奪われるNGワードです。
否定される経験が続くと、「どうせ言っても通らない」とアイディアを出すこと自体をやめてしまい、チームにとっても大切な発想の源が失われてしまいます。
「もったいない使い」への対処法
着想の「新しいものを生み出したい」という気持ちは、決して抑え込む必要はありません。
大切なのは、ひらめきを止めることではなく、そのアイディアがチームの成果につながるようにコントロールすることです。そのためにはまず、「あ、いま新しさにこだわりすぎているかも」「話が飛んでいるかも」と客観的に気づくこと。この自己認識が、すべての出発点になります。
そのうえで、先ほどの3つの「もったいない使い」それぞれに対応するヒントをご紹介します。
⚫︎ 最初に「ゴール」と「変えない部分」を決めておく
取り組みを始める前に、「この仕事のゴールは何か」「どこは既存のやり方で進め、どこに新しさを取り入れるか」を決めておきましょう。新しさを発揮する場所を絞ることで、ひらめきが目的達成のための力として働くようになります。
「目標志向」や「達成欲」を上位に持つメンバーに、ゴールから外れていないかを時々確認してもらうなど、強みの貸し借りをするのも効果的です。
⚫︎ 発言の前に「ジャストアイディアなんだけど」と一言添える
思いついたことを伝えるときは、「まだ思いつきの段階なんだけど」「本題から少しそれるけど」と前置きをしてみましょう。それだけで、聞き手は「決定事項ではなく、ひとつのアイディア」として受け止めやすくなります。
また、会議中に浮かんだアイディアはいったんメモに書き留め、話の区切りや最後に共有するようにすると、議論の流れを止めずにひらめきを活かすことができます。
⚫︎ 伝える前に「寝かせる時間」を取り、アイディアを熟成させる
ひらめいたアイディアはすぐに提案するのではなく、「誰のどんな課題を解決するのか」「実現するために何が必要か」を少し考えてから伝えるようにしましょう。考え抜かれたアイディアは、却下されにくくなります。
それでも通らなかったときは、アイディアに価値がなかったのではなく「タイミングや熟成度の問題」と捉え、アイディアノートに貯めておくことをおすすめします。いつか、そのアイディアが活きる場面がやってきます。
着想を「強み」に育てる!強み開発レシピ

資質を強みに変える方程式
ストレングスファインダーの資質は、その人自身がもともと持っている「才能」です。スパークルチームでは、この資質を「道具」のようなものだと考えています。
どんなに優れた道具でも、使い方を知らなければ十分に力を発揮することはできません。一方で、使い方を学び、経験を重ねて磨いていくことで、その人ならではの大きな強みへと育てることができます。
では、資質を「強み」に変えていくにはどうすれば良いのでしょうか。
ストレングスファインダーの基本となる考え方のひとつに、次の重要な公式があります。
強みの方程式: 資質(才能)× 強み開発レシピ(投資行動)= 強み(能力)
資質は、もともとその人の中にある思考・感情・行動パターンの傾向(=才能)です。
そこに、知識や経験、スキル、人脈などをより磨いていくための”投資行動”を重ねていくことで、はじめて「強み」へと育っていきます。
着想の強み開発レシピ
着想を強みへと育てていくために、意識したい投資行動をご紹介します。
この投資行動を、スパークルチームでは「強み開発レシピ」と呼んでいます。
ここでご紹介するのは、あくまで一例です。料理のレシピと同じように、自分に合うものを取り入れながら、自分だけのレシピへと育てていきましょう。
⚫︎ 「発散」と「収束」の時間と役割を分けた場をつくる
会議やプロジェクトの進め方を設計するときに、アイディアを自由に広げる「発散」の時間と、実行することを決める「収束」の時間を、あらかじめ分けて設定してみましょう。発散の時間は、時間の許す限りアイディアを膨らませることに集中します。
そのうえで、収束の場面では「調和性」や「目標志向」など、現実的に物事を前に進めることが得意なメンバーに進行を任せる。役割を分けることで、着想の発想力とチームの実行力が掛け合わさり、チーム全体の生産性が高まります。
⚫︎ アイディアの「原料」を仕入れ、対話で磨き上げる
本やニュース、異業種の事例、ふとした会話など、日頃から幅広い情報に触れることは、着想にとってアイディアの原料を仕入れることにつながります。
そして浮かんだアイディアは、ひとりで温めるだけでなく、信頼できる相手と議論してみましょう。相手の反応や問いかけがアイディアを洗練させ、「思いつき」を「実現できる提案」へと磨き上げてくれます。
⚫︎ 否定されずに面白がってもらえる場と仲間を持つ
何を言っても否定されることなく、面白がってもらえる場や人の存在は、着想にとって何よりの栄養補給になります。自由な発想ができる環境がなくなると、着想のエネルギーは枯渇してしまうからです。
着想を上位に持つ人同士で定期的にアイディアを発散する時間をつくったり、上司や周囲に「ブレインストーミングの時間がほしい」と伝えてサポートしてもらったりと、自分から場づくりに関わっていきましょう。日常に小さな変化や新しい挑戦を取り入れることも、ひらめきを刺激し続けるのに役立ちます。
\ 組織やチームとしてストレングスファインダーを活かす方法や研修はこちら /
まとめ
着想は、新しいアイディアや概念に心を惹かれ、既成概念にとらわれない自由な発想で、チームや組織に新しい価値をもたらしていく資質です。一見無関係なものをつなげ、誰も思いつかなかった切り口を生み出す力を持っています。
一方で、ひらめきの勢いが行き過ぎると、新しさにこだわりすぎてゴールを見失ったり、思いつきで周囲を振り回してしまったりすることがあります。だからこそ大切なのは、ひらめきを止めることではなく、「ゴールを定め、伝え方とタイミングを工夫して、アイディアを成果につなげる」ことを意識することです。
また、ストレングスファインダーで示される資質は、あくまでその人が持つ「才能」の一部です。同じ「着想」を持っていても、ほかの資質との組み合わせや経験、置かれている環境によって、その現れ方は一人ひとり異なります。
「当てはまる」と感じた部分も、「自分とは少し違う」と感じた部分も含めて、自分らしい着想の活かし方を見つけていくことが大切です。
ぜひ、ひらめきの才能をあなたらしい強みへと育て、仕事や人生のさまざまな場面で活かしてみてください!
「着想」の解説を音声で聴きたい方はこちらから
ゲスト登場【ストレングスファインダー資質理解】「着想」編:ひらめきの天才♪
スパークルチームでは、クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー)を組織開発へ活用した研修を提供しています。
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