強みを活かしたマネジメントを実践されているリーダーのみなさんの声をお届けするSparkle Learder’s Voice。今回は、長年お世話になっているクライアント様である製薬メーカーK社にお勤めの佐藤隆さんにインタビューの機会をいただきました。
佐藤さんとの出会いは忘れもしない、K社さんで初めてストレングスワークショップを登壇させていただいた日。
研修後、後ろのほうの席から名刺片手に小走りでご挨拶に来てくださり「いやぁ、私ストレングスファインダーの大ファンなんですよ!」と屈託のない満面の笑みで話しかけてくださったのを鮮明に覚えています。
佐藤さんは現在、製薬メーカーの研究開発本部で、社内の様々な開発プロジェクトの推進を支援する、プロジェクトマネジメントを担うチームのリーダーでいらっしゃいます。
佐藤さんがストレングスファインダーと出会い、今どのようにご自分の資質を活かされているのか、マネジャー・リーダーとしての奮闘も含めてお伺いしました。
本日の後見人はストレングスコーチの上田雅美コーチ(通称アネゴ)です。
念願の佐藤さんへのオンラインインタビュー!対面でなくて残念ですがとっても楽しみです!
本日のスピーカー
製薬メーカーK社 開発プロジェクトマネジャー 佐藤隆さん
【ストレングスファインダーTOP10】
着想・戦略性・親密性・成長促進・最上志向・ポジティブ・学習欲・共感性・個別化・運命思考
株式会社アネゴ企画 上田雅美コーチ
【ストレングスファインダートップ5】
着想・活発性・ポジティブ・最上志向・適応性
リーダーとして自分の中で暴れる資質をまず受け入れることから始める
ストレングスファインダーを受けてみて、最初はどんな印象でしたか?
今はトップ10にはないですが、9年前初めて受けたときは包含が出てきてびっくりしましたね。
それ以来、包含は意識的に使うようになりました。
それまでは無意識にやられていたんですね?
そう、「自分には包含がある」と思うと意識してメンバーの様子を見るようになりました。
あとは1位の着想は、前も1位だったんですけど、すごい納得できました。
納得というと?
それまで、こんなに良いアイディアが出てるのに何で採用してくれないんだろう?ってある意味周りを批判的に感じることもありました。
でも説明を聞いて「アイディアが湧いてくるものはしょうがないから、それはそれでいいんじゃない?」って思えるようになりました。
自分の状態をそのまま受け止めているというか。「俺が勝手に考えてるだけなんだな」と(笑)。
わかってくれない周り、ではなく自分の特性だと受け止められたんですね。
トップ10を見ると優秀なものに惹かれる資質である最上志向もお持ちですよね。弱みづかいになると「バカが嫌い」と思ってしまう側面もあったりしますが・・・?
それねー!(笑)あんまり大きな声では言えなけど、それこそ前は最上志向が暴走してしまって他人を切っていたこともありました。
でもいまは最上志向が反応していたとしても「いやちょっと待てよ」と。ちょっと自分が話すのをやめて冷静にその人のことや自分の気持ちを観察することで、最上志向が反応している相手の違う側面を見ようとしたり、伝え方を変えてみることでだいぶ対応ができるようになってきたと感じています。
「バカが嫌い」という最上志向の側面は確かに自分にはありますが、まずはそれを受け入れるところからはじめるって感じです。
ジャイアンぽくふるまうのは自分のリーダーシップのスタイルじゃない
リーダー塾を主宰しているアネゴとは、10年ほど前にリーダー塾での講演を依頼されたところからのお付き合いだそうです。ストレングスファインダーとはリーダー塾で出会ったとのこと。
当時、佐藤さんが会社の経営理念をボトムアップで作られたと聞いて、その取り組みについて話をして欲しいと依頼したんですよね。
そのころ会社の形が新しくなるタイミングで、経営理念をつくるタスクフォースが立ち上がりました。私も手を挙げて参画していたんですが、多くの社員を巻き込んで長いポエムみたいなものができまして、その時の活動についてお話をさせていただいたんです。
そのあと佐藤さんもリーダー塾に参加されるんですよね?
はい。当時私は開発部門のプロジェクトマネジャーになって数年くらい経ったところだったんですが、「プロジェクトマネジャーならコーチングくらい学びなさいよ」とアネゴから言われまして(笑)。 共通の知り合いからの紹介ではあったんですが、なんだかこの人面白い人だなぁ、と思ってそのまますぐに塾生になりました。
リーダー塾は、誰かがトップダウンで決めるのではなく、ボトムアップ型で一人一人がリーダーである、という概念のもと、自分のリーダーシップを考えていくんですけど、そんなこと考えてもみなかった!という感覚を知りましたね。会社だと科学的なところが重視されるというか、感情は出さずにロジカルな面を重視されるけど、リーダー塾はとにかく「感じたこと」にフォーカスする。いまどう思ったの?なんで?とか、とにかく何度も感情を言葉にする時間だったんですよね。
リーダー塾で印象的だったことは?
意図的に「ジャイアン」っぽく振る舞うっていうのをやってみたことがありまして。あれは衝撃でした。自分のリーダーとしてスタイルじゃないのに横暴にふるまってみるということをあえてしたんですけど、やっぱり自分にはうまくできない。最後うまく収めようとする自分がいました。こういうのは自分のスタイルじゃないんだってよくわかりました。
佐藤さんは人間関係構築力系資質をたくさん持ってますけど、人間関係構築力系の資質って、特にマネジャーの中にはリーダーシップとして発揮せずに開花されないという人もいると思うんですよ。もっと強いリーダーシップをとって自分が結果を出さなきゃ!、って。ストレングスファインダーを受けてみて、親密性や成長促進があるんだ、と思うと自分の内側が肯定されますよね。傍から見ていて1on1の中で使えるようになられたんじゃないかなと、思いますよ。
プロマネって、ある意味尻たたきみたいな側面があって(笑)。そうでない、寄り添っている自分は自分自身でほっとするんじゃないですか?
いや、本当にそうで。自分を知るっていうのがリーダーなんじゃない?っていうところをまさに学ばせてもらいました。
口の足かせが軽くなって「あなたのことを応援しているよ」と伝えられるようになった
何かチーム運営で意識していたりご自身なりに大切にしていることはありますか?
自分だけで考えてこうしよう!と決めて、それを進めると間違っていることが多いんです。自分一人の考えになっていて、チームにとってはあまりベストじゃないことも多い。だから最近は周りの人の意見を聞こうとしています。
あとは親密性をかなり使っているなという認識はありますね。今は特にリモートで個々が離れて動いている昨今なので、1on1を頻繁にやっています。一人一人にオーダーメイドに対応する感じですね。やっぱりこれまでって、会社の中に一緒にいるとそんなに話しているわけではないのに、顔を合わせているだけでなんとなく分かりあえている気がしていました。けどリモートではそうはいかないから、今は感じたことを意識的に伝えたり、言ってもらったりしています。
具体的にはどのようなことをお話されているんですか
どんな感情で仕事している?という気持ちの面ですね。
正直、メンバーの仕事の内容とかコンテンツについては信じてるからやってね、って感じで細かく確認することはないんです。
特に今はメンバーの心の健康度合いを聞くようにしていますね。
あとは自分の気持ちを言葉にして伝えたり、チアアップをしたり。察してくれているだろう、察しているだろうという期待は当てにしないようにしています。
チアアップ、ってまさに成長促進を使っていらっしゃるんですね!
何か取り組みの中で変化を感じられことはありますか?
僕が言ってもメンバーがどう伝わっているのかは正直わからないから実態はわかりませんけど…前よりは雰囲気として素直に話せるようになっているんじゃないかなとは思います。
いまうちに兼務で入ってくれているメンバーがいるんですけど、『佐藤さんのチームは本当に話しやすいですね』、って言ってもらったときに「よっしゃー!」と(笑)。それを言われて本当に嬉しかったんですよ。
もうね、最高の誉め言葉。「それがやりたかったんだよ!」という感じですよ。
親密性や成長促進を使って、一人一人が思ったことをサクッといえる環境をつくりたいんです。うまくいかないときも多いのですが「絶対否定しない」というのを意識しています。
とっても素敵ですねぇ…。
最上志向が暴走して否定したくなっちゃうことはないんですか?
あはは、ありますよ!でも最上志向をミュートにしてます(笑)。
そういう時は「もうちょっとどういうことか教えてくれない?」と。
まず聴く、です。
佐藤さんて、本当はスピード、テンポ感がある人だと思うけど、ずいぶん待つようになったんじゃないかな
そうなんですか?全然そんな風には見えませんが
瞬間湯沸かし器だったんですよ、昔はストレートに何でも口にしてました。(笑)
確かに着想・戦略性・最上志向がかけ合わさると直感で物事をとらえるスピードがすごく速い才能ですしね。
そう。だからアネゴと一緒に何かをやると剛速球になる。それはそれで快適だけど、周りは急にそんなこと言われてもわかんないよ、と。
アネゴはそこにブレーキをかけてくれる役割でしたね。
「で、何したいの?」
「それをやったことで何を得たいと思っているの?」といういやらしい問いをね、投げてくるんですよ(笑)。
うーん、なんだろう?って言葉にしてみる。
ストレングスファインダーで自分を意識して、コーチングで自分はともかく相手はどう思っているのか。このスタンスを学べたことはとても大きかった。
僕自身も変わってきているなと思うことがあって、空気では伝わらないことってたくさんあって、言葉にしなければ伝わらないな、と。口の足かせが軽くなりました。
いまこんなこと思ってるんだ、すごいね、とかよくできたねそんなの、とかとにかくチアアップしてます。私はあなたのことを応援しているよ、というのを伝えたいんです。
心のどこかでメンバーに対して「この人は分かっていないな」と思っていた
逆に、リーダーとしてやっちゃったなー、という経験はありますか?
ずいぶん前にとあるチームのマネジャーをやったんですがみんなでここをめざそう、というチームのゴールがうまく設定できていなくて、自分だけで決めて前に進めてしまってチームとして全然まとまらなかったことがありました。
そうだったんですか…振り返ってみて何が起きていたと思われます?
いま思えば自分が空回りしていました。自分の考えを出さなかったかもしれませんね。
当時、自分のキャリアでは経験したことの無い分野でチームマネジャーになったんです。今思えば、おそらくチームメンバーは「マネジャー」の存在を望んでいなくて、「私たちから専門性を学んで、一緒に働いてほしい」と思っていた気がするんです。つまり「自分はこういう風にやろうと思うんだけど」という私の思いと皆の考えていたことのすり合わせあがてきていなかった。本当にうわべでメンバーと関わっていたんだと思います。定期的に目標の到達度面談はやっていたけど、心のどこかでメンバーに対して「この人はわかってないな」と思っていたんでしょうね。逆にメンバーからは、業務的な内容を理解していない人、チームの姿がわかってない人、と思われていたんじゃないかな。
いまの佐藤さんからは想像もつきません…
先ほど「話しやすいチームを目指している」とおしゃっていましたが、それはなぜなんですか?
みんなが「発信する」ということでチームをつくりたい。誰かが引っ張っていくよりも、いろんな関わりあいがでて、重なって良いチームになっていることが大切だと考えています。一人一人が存在を認められているからこそ、口に出せるというのもあるだろうと思っているんですよね。
先ほども言ったように、僕がこれが良い!と思って何かをやろうとしても、チームのみんなにとっては良くない、というときが多いんです。だからみんなには何かあれば言ってほしいし、発言を気軽にできるようにしたいんです。
それはご苦労されたチームマネジメントの経験が影響していたりするんでしょうか?
いやー、そうですよねー。あの時はみんなの話を聞いていなかったからなぁ。
・・・いや、聞いてはいたんだと思うんですけどね・・・。そういえば、ある部下とね、面接を5時間やったことがあるんですよ。1時間の予定が5時間になった。いろいろ話して、あ、わかってくれたかな、と思うと「でも…」って言うのね。それでまた一生懸命話して、やっと伝わった、と思うとまた「でも…」って。当時はマネジャーとしての自分の考えをとりあえずわかってほしい、と。わかってくれるだろう、と。彼をもう一皮むきたい、と思っていた。きっと変わってくれるだろう、と。いま思えば、それだけ時間をかけて彼を変えようとすること自体が間違っていたんですよね。
なんだか佐藤さんのいろいろな想いがあふれていらっしゃるのを感じます…。
戦略性はいま思うと全然うまく使ってなかったなぁ(笑)。親密性、成長促進、運命思考ぽいところが出ててね…。
自分でもばかだなぁ、と思いますよ。他人を変えようなんて思わないで、うまいこと言ってみんなに上手に働いてもらうほうがビジネス上はいいんでしょうけど…僕はホント「不器用なおじさん」なんです(笑)
これからの野望はありますか?
来年役職定年なんですよ。そろそろいつ会社を辞めるのかを決めないといけないんですけど…
とりあえずこの1年間は、チームが立ち上がったばっかりなのでやりたいことはたくさんあるんです。とにかく新しいメンバーを軌道に乗せていきたい。昨年度までは3人だったチームが8人になって、でもコロナの状況もあって直接会えないことが多いんですが、自分は関わらなくなってもチームとして良くなるように成長促進を使っていきたいですね。
会社のみんなには「俺たちはこうしたい」というのを形にしていってほしいです。そう考えると数年先は、社内コーチとしてたくさんの人たちの成長に関わるようなことが出来たらいいかもしれません。色々あっても、結局この会社は好きですから。
不器用なおじさん、と佐藤さんは笑いますが、とにかく人間関係資質たっぷり!メンバーが楽しく成長できていることがご自身の一番の幸せなんだな、ということがひしひしと伝わるインタビューで、途中お話を伺いながら少しうるっときてしまうこともあるほど素敵なマネジャーさんでした。
佐藤さん、上田さん、どうもありがとうございました!