
世論調査のグローバル企業である米国Gallup社が開発した、個人の強みの源泉を発見し、強みの相互依存チームを醸成するためのアセスメントツール、ストレングスファインダー(正式名称「クリフトンストレングス」)。
従来の「弱点を克服する」というアプローチとは異なり、「強みに着目し、それを磨き育てる」ことを前提にしている点が大きな特徴です。
このアセスメントを受検すると、一人ひとりが無意識に繰り返している思考や行動のパターンが34の資質として整理され、ランキング形式で表示されます(プランによっては上位5つまで)。
今回ご紹介するのは、その34資質の中でも、日本人受検者のTOP5の資質として5番目に多く登場するとされる「共感性」です。
共感性は、言葉にされない気持ちまで察して、深い感情で人との関係をつくり、周囲に安らぎと安定感を与えていく資質です。
一方で、相手の感情をまるで自分のことのように感じてしまうからこそ、他人の状況に入り込みすぎて、自分自身が疲れてしまうことがあります。
この記事では、共感性の特徴や強みだけでなく、資質を活かしきれずに起こりがちな「もったいない使い」とその対処法、さらに才能を「強み」へと育てるための「強み開発レシピ」まで、分かりやすくご紹介します。
【ストレングスファインダー資質理解】「共感性」編:人の気持ちがわかる天才♪
共感性とは?〜言葉にならない気持ちを察する、人の気持ちがわかる天才〜

共感性をひとことで表すなら、「人の気持ちがわかる天才」です。
自分を相手の状況と置き換えて考えることで、相手の感情を自然と察することができる資質です。
周囲の人の痛みや喜びを、まるで自分自身の気持ちであるかのように感じ取ります。「人は感情的な生き物である」と捉えていて、喜び・悲しみ・怒りといった人間らしい感情そのものを大切にします。物事を判断するときにも、データよりも直感を優先する傾向があり、深い感情のレベルで人との関係をつくることで、周囲に安らぎと安定感を与えていきます。英語では「Empathy(エンパシー)」と呼ばれ、その名のとおり、相手の心に寄り添うエネルギーを持っています。
なお、対照的な資質としてよく挙げられるのが「分析思考」です。分析思考が「何をすべきかはデータで決める」のに対し、共感性は「何をすべきかは直感で決める」資質です。どちらも意思決定を支える大切な力であり、チームの中で補い合える関係にあります。
共感性は、ストレングスファインダーの34資質を4つに分類したうちの「人間関係構築力系資質群」に属しています。
人間関係構築力系資質群とは、自分のことよりもまず周囲の人間関係を考えることに喜びを覚える資質のあつまりで、「場の雰囲気や関係性」を大切にしながら、人と人とをつなぎ、チームとして力を発揮することを得意としています。
共感性の場合、メンバー一人ひとりの感情の動きを敏感に感じ取り、寄り添うことで、チームに安心感という土台をもたらしていきます。
共感性の“強み使い”と“もったいない使い”
【強み使い】共感性のここがすごい!
共感性を上位に持つ方は、「人の役に立って喜んでもらいたい」という思いを原動力に、仕事でも日常でも自然と周囲の気持ちに寄り添おうとします。
ここでは、共感性らしさが発揮される代表的な特徴をご紹介します。
⚫︎ 言葉にされない気持ちを察知できる
共感性は、言葉に発せられない問いかけを感じ取り、その人がいま何を必要としているかがわかります。
「大丈夫です」と言っているメンバーの声の調子や表情から、本当は無理をしていることに気づく。この感度は、チームの問題が大きくなる前に手を打つための、貴重な早期アラートになります。
⚫︎ 相手が気持ちを言葉にできるよう、手助けできる
他の人が言葉を探して苦労しているとき、その気持ちにぴったりの言葉を、適切な言い方で自然に差し出すことができます。
「それって、悔しかったということですか?」と言葉を添えてもらえるだけで、相手は自分の感情を整理でき、前に進めるようになります。1on1や面談の場面で特に光る才能です。
⚫︎「理解されている」という安心感で、人を惹きつける
共感性のそばにいる人は、「この人は自分をわかってくれている」と感じます。
だからこそ「一緒にいたい」「この人に相談したい」と、自然と人が集まってきます。この安心感は、チームの心理的な安全性を支える大切な土台になります。
⚫︎ 場の空気の変化に、いち早く気づける
会議中の微妙な空気の変化や、メンバーのいつもと違う様子に、誰よりも早く気づくことができます。
感情はその他の実際的な要因と同じくらい「現実」であり、意思決定において重視すべき情報です。共感性が拾う情報は、チームの判断の質を高めてくれます。
⚫︎「ありがとう」を原動力に、人の役に立てる
共感性にとって、「ありがとう」という言葉は何より嬉しいご褒美です。
日常でも、家族や友人がしんどそうなときに真っ先に気づいて、そっと寄り添っている方が多いはず。見返りを求めない思いやりが、周囲との深い信頼を育てていきます。
【もったいない使い】共感性のもったいない「あるある」
共感性は、周囲に安らぎをもたらす資質である一方、感じ取る力が強いからこそ、その感情に自分自身が飲み込まれてしまうことがあります。
ここでは、共感性を上位に持つ方によく見られる「もったいない使い」をご紹介します。
⚫︎ 相手の状況に入り込みすぎて、自己犠牲に陥ってしまう
相手の痛みを自分のことのように感じるため、気づけば相手の課題を丸ごと自分が抱え込み、自分の時間やエネルギーを削ってしまうことがあります。
「人の役に立ちたい」という尊いねがいから来る行動ですが、行き過ぎると、感情に不必要に立ち入ってしまったり、自分をすり減らしてしまったりすることになります。
⚫︎ 周囲のネガティブな感情に引っ張られて、落ち込んでしまう
職場がピリピリしていたり、身近に強い不満や悲しみを抱えている人がいたりすると、その感情に影響されて、自分の気持ちまで沈んでしまうことがあります。
本人に直接何かがあったわけではないのに疲れてしまう。これは共感性のアンテナの感度が高いゆえの「もったいない使い」です。
⚫︎「わかってしまう」からこそ、必要な指摘や決断ができない
相手の事情や気持ちが痛いほどわかるため、本来必要な指摘や、厳しい決断をためらってしまうことがあります。
しかし、人の感情を「理解すること」と、その行動を「許すこと」は別のものです。周囲に有害な振る舞いを放置してしまうと、結果的にチーム全体が傷ついてしまいます。
「もったいない使い」への対処法
共感性の「相手の気持ちに寄り添いたい」という気持ちは、決して抑え込む必要はありません。
大切なのは、感じる力を鈍らせることではなく、感じ取った感情に飲み込まれずに、自分の行動を選べる状態を保つことです。そのためにはまず、「あ、いま相手の感情に入り込みすぎているな」と客観的に気づくこと。この自己認識が、すべての出発点になります。
そのうえで、先ほどの3つの「もったいない使い」それぞれに対応するヒントをご紹介します。
⚫︎「事実」と「感情」を切り分けて、行動を選び直す
相手の状況に入り込みすぎていると感じたら、一度立ち止まって、起きている事実を客観的に捉え直してみましょう。
そのうえで、「自分はどこまで関わりたいのか」「何ができて、何は相手自身の課題なのか」を切り分けて、自分の行動を自分で選びます。寄り添うことと、背負い込むことは違います。
⚫︎ 1日の終わりに、感情を開放する日課をつくる
受け取った感情をため込んだまま眠らないように、1日の終わりに感情をリセットする習慣を持ちましょう。
日記に書き出す、信頼できる人に話す、散歩や入浴でひと呼吸置くなど、方法は自分に合うもので構いません。毎日の小さな開放が、感度の高いアンテナを健やかに保ってくれます。
⚫︎「理解すること」と「許すこと」を分けて考える
相手の気持ちがわかることと、その行動を容認することは、まったく別のものだと捉え直しましょう。
周囲に有害な振る舞いをしている人がいたら、素早く断固とした行動をとることも必要です。自分ひとりで難しいときは、「指令性」や「活発性」を上位に持つ人の力を借りるのもひとつの手。結果として相手の気持ちを一時的に傷つけることになっても、それがチームと相手自身を守ることにつながります。
共感性を「強み」に育てる!強み開発レシピ

資質を強みに変える方程式
ストレングスファインダーの資質は、その人自身がもともと持っている「才能」です。スパークルチームでは、この資質を「道具」のようなものだと考えています。
どんなに優れた道具でも、使い方を知らなければ十分に力を発揮することはできません。一方で、使い方を学び、経験を重ねて磨いていくことで、その人ならではの大きな強みへと育てることができます。
では、資質を「強み」に変えていくにはどうすれば良いのでしょうか。
ストレングスファインダーの基本となる考え方のひとつに、次の重要な公式があります。
強みの方程式: 資質(才能)× 強み開発レシピ(投資行動)= 強み(能力)
資質は、もともとその人の中にある思考・感情・行動パターンの傾向(=才能)です。
そこに、知識や経験、スキル、人脈などをより磨いていくための”投資行動”を重ねていくことで、はじめて「強み」へと育っていきます。
共感性の強み開発レシピ
共感性を強みへと育てていくために、意識したい投資行動をご紹介します。
この投資行動を、スパークルチームでは「強み開発レシピ」と呼んでいます。
ここでご紹介するのは、あくまで一例です。料理のレシピと同じように、自分に合うものを取り入れながら、自分だけのレシピへと育てていきましょう。
⚫︎ 感情に「言葉」を当てはめる練習をする
自分が経験した感情や、周囲の人に見られる感情に、ぴったりの言葉を当てはめる練習をしてみましょう。
感じ取る力に表現の語彙が加わることで、共感性の才能は「察する」から「伝えて動かす」へと進化します。相手に共感していることを言葉で知らせることは、信頼関係を築く最短の道でもあります。
⚫︎ チームの「感情の通訳者」役を引き受ける
会議で言葉にならない違和感が漂っているとき、「いま、少しモヤモヤが残っている気がするのですが」と場に差し出してみましょう。
誰もが感じているのに誰も言えなかったことを言語化できるのは、共感性ならではの貢献です。メンバーの声にならない声を拾い、チームの意思決定に届ける役割を担うことで、才能が組織の力に変わっていきます。
⚫︎ 肯定的で楽天的な人とのつながりを、意識的につくる
共感性のアンテナは、周囲の感情をそのまま受信します。だからこそ、一緒に過ごす人や環境の選び方が、そのまま自分のコンディションに直結します。
肯定的で楽天的な人(「ポジティブ」を上位に持つ人など)と過ごす時間を意識的に確保し、逆に悲観論者や皮肉屋とは、可能な範囲で距離を取りましょう。良い感情に囲まれることが、共感性にとって最高の栄養補給になります。
\ 組織やチームとしてストレングスファインダーを活かす方法や研修はこちら /
まとめ
共感性は、言葉にされない気持ちまで察して、深い感情で人との関係をつくり、周囲に安らぎと安定感を与えていく資質です。チームに安心感の土台をもたらし、声にならない声を拾い上げる力を持っています。
一方で、感じ取る力が強いからこそ、相手の状況に入り込みすぎて自分をすり減らしてしまったり、周囲のネガティブな感情に引っ張られてしまったりすることがあります。だからこそ大切なのは、感じる力を鈍らせることではなく、「感じ取った感情に飲み込まれず、自分の行動を自分で選ぶ」ことを意識することです。
また、ストレングスファインダーで示される資質は、あくまでその人が持つ「才能」の一部です。同じ「共感性」を持っていても、ほかの資質との組み合わせや経験、置かれている環境によって、その現れ方は一人ひとり異なります。
「当てはまる」と感じた部分も、「自分とは少し違う」と感じた部分も含めて、自分らしい共感性の活かし方を見つけていくことが大切です。
ぜひ、人の気持ちがわかる才能をあなたらしい強みへと育て、仕事や人生のさまざまな場面で活かしてみてください!
「共感性」の解説を音声で聴きたい方はこちらから
【ストレングスファインダー資質理解】「共感性」編:人の気持ちがわかる天才♪
スパークルチームでは、クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー)を組織開発へ活用した研修を提供しています。
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