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【組織活性化 事例】リモートでもチームメンバーがエンゲージしていく”わちゃわちゃマネジメント”

新型コロナウィルスという世界的パンデミックの影響により、世界中で多くの企業が働き方をリモートワーク中心へと移行しました。

業務の状況や日頃の様子が見えにくいリモート環境において、どのようにチームとして一体感を生み出し、業績向上へと繋げていけばいいのか、この数年は多くのマネージャーが頭を抱え日々奮闘しています。

そのようななか、同じようにリモート中心でもとてもイキイキと成果を出しているチームを作り上げているのが、大手エネルギー会社の営業部長を務める小林和彦さんです。

小林さんは営業スタッフ・総務スタッフ合わせて50人ほどを束ね、それぞれが自律的にイキイキと仕事をしていくための組織作りを行っています。

そんな小林さんがコロナ禍でも売り上げを伸ばすチーム作りのために取り組んできたことについてご紹介します!

【プロフィール】小林和彦さん(かずさん):大手エネルギー会社 営業部長

・1975年 新潟生まれ、神奈川育ち、東京江東区在住
・ 技術開発から製造業向けソリューション営業に転身経歴あり
・ 食べること飲むこと大好き
・ 何だかんだ仕事も好き
・ でも(良い意味で?)サボリーマン
・ 好奇心旺盛、やると決めた時の行動はメチャ早い
・ だから失敗も多い、けれど失敗から学べると信じている

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初めての部長就任。リモート環境で50名の部下を抱えることに。

「活力」をテーマにコミットメントを表明。マネジメントがスタート。

2020年4月、神奈川県域のエネルギーソリューション営業を統括する営業部長に就任した小林さん。

まさにコロナ禍ど真ん中のなか、約50名の部下を抱えるマネージャーになりました。

リモート環境で同時にメンバーが顔を合わせる機会が少ない状況、さらには多様性に富んだ若手メンバーが多いなかマネジメントを任され、当初は強い焦りを感じていたそうです。

そこで、小林さんが部長に就任してまずやったことは、期首のご挨拶の配布です。

事業所全体に対し、部長就任あいさつの意図も含めて正式レターとして配りました。

小林さん

このコロナ禍の中、営業としてお客さまに出来ることは何なのか、それを問いかけるメッセージを発信しました。

ビジネスとして厳しい状況ではあるけど、ここで停滞してしまうのではなく、小さなことからでも今できる限りのことをして、コロナ禍が落ち着いた頃に「80%にパワーダウンしたのを100%に戻す」のではなく「120%の力を発揮できる組織になろう」という想いを込めて、表明の意思も含めてあえて正式レターと言う形で伝えました。

まさにピンチをチャンスに変える、そのために出来ることをまず組織全体でやっていく。そのような部長としてのコミットメントを表明し、期首のスタートを切りました。

そして組織を運営していく上でのマネジメント方針を、事業所ビジネスとの共通点である「エネルギー(活力)」に定め、活力を源流として自分から動き続ける・学び続ける大切さをメンバーに伝播することに着目。

自組織のエンゲージメントを高めていくための、各種マネジメント施策を検討していきます。

小林さん

当時の組織としての課題は、営業あるあるでもある「個人商店化」が目立っていることでした。どうしても目の前の営業成績にフォーカスしてしまい、またリモート環境ということもあってチーム間の連携が少ない。経験が少ない若手メンバーにとってはつらい状況でもあったんですよね。

また個人商店化しているがゆえに、目立つ人は目立ってしまっている状況。それ以外のメンバーも含めて、全員が活き活きと働ける環境が必要だと考えました。

そこで小林さんは一念発起!

活力あふれる組織にするために、部長として何をすべきか徹底的に考え抜きます。

コロナ禍のため得意な飲みニケーションも出来ない、マネジメントすべきメンバーも多いし業務範囲も広い、リモート環境のため指示が全員に行き渡るかも分からない、予算も限られている…。まさに八方塞がりとも言える状況でした。

ですが期首に表明したコミットメント通り、まずは小さなことから始めてみよう!を軸に、様々なマネジメント施策「わちゃわちゃマネジメント」が始まっていきました。

エンゲージメント施策事例:「コロナ禍にも負けない組織作り」

それでは小林さんが実際に行ってきた、リモート環境でのエンゲージメント向上を目指す施策をご紹介します。

まず小林さんは、それぞれの施策を実践する際に以下のことを意識した上で取り組みました。

■施策を実施する上で意識した5つのこと

・早くやる、やってみる、やらせてみる
・小さく仲間を作る、企んでみる
・出来る限り強制をしない、でも仲間外れを作らない
・フェードアウトしない・させない、やめる理由は明確に
・「ナイストライ」「〇〇が分かったよね」を大切にする

まずはやってみる。

そして、やってみた結果あまり意味なかったものが出てきたら、それもきちんとメンバーに伝えたうえで、そこで得た気づきを共有することを意識したそうです。

小林さん

成功も失敗も、みんなでシェアしていくことが大事。

そこに自分の意図や想いを載せてメンバーに発信し続けることで、組織全体でこのコロナ禍というピンチをチャンスに変えていこうと考えました。

施策① チャット朝礼を活用したメンバーによる自由な発信

小林さんの事業部では普段、朝礼でメンバーが日替わりとなり業務に関する連絡事項をチャットで発信します。そこに「今日のひとこと」を自由に追加して発信してもらうようにしました。

自由記述なので仕事の話はもちろん、趣味の話や子育ての悩み、美味しいお店情報などなんでもOK!

その内容に対して、部長である小林さんが必ず返信(初年度は15分以内に返信すると宣言!)を、部全体に向けて発信するという試みです。

小林さん

毎日やるとなるとそのうちネタが枯渇するのかなと懸念していましたが、思いがけない一面や共通点などの発見もあって、2年経過した今でも続けています。

毎日の返信は結構大変なことではありましたが、これにより個々のメンバーを覚えることができるので、僕だけじゃなくチーム間の相互理解にも繋がっています。

メンバー主体のチャット朝礼

施策② ポジティブ輪番制

在宅勤務がメインではありますが、なかには出社対応しなければできない総務関連の業務もあります。

その仕事を総務チームだけに任せるのではなく、営業チームにも輪番制で担当してもらうようにしました。

担当の枠を超えた業務対応によって総務メンバーも在宅勤務が出来るようになった事はもちろん、何より営業メンバーが総務の仕事を理解することができようになり、部全体の結束力向上へとつながっていきました。

小林さん

輪番と言うと“やらされ感”が出てしまいますが、お互いの仕事を知ることで日頃のフォローやサポートに厚みが出てきますよね。なので「ポジティブ輪番制」と呼んでいます。

ちなみに最初の3か月は「神ボランチ(サッカー用語)」と名付け、2名体制で出社対応していました。

4か月目以降は1名でも運用が回るようになったので、「神リベロ(バレー用語)」に変更しました(笑)

ポジティブ輪番制(イメージ)

施策③ ストレングスファインダーによる自己理解・相互理解

部全員にストレングスファインダー(※)を受験してもらい、そこで出た資質TOP5のカードを作り、それぞれのデスクに掲示してもらうようにしました。

全員が資質(つよみ)を開示することで、自己理解だけでなくメンバー同士の理解も深まる施策として非常に有効です。ちょっとした会話のきっかけにもなります。

そして、小林さん自身がコーチングの資格を活かして講師となり、チームごとの資質理解に向けたワークショップを開催しました。

※ストレングスファインダーについてはこちらをご参照下さい

小林さん

これはダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の原点とも言える取り組みになりました。

チームが多いのでワークショップは全部で15回ほどになったのですが、メンバーから「部長ってそんなこともやるんですね」と驚かれましたね。確かに特例ではあると思います…。

ストレングスファインダーの上位資質を各自デスクに掲示

施策④ 希望者向けの1on1ミーティング

こちらも自身のコーチングの資格を活かし、守秘義務を提示したうえで希望者に対して1on1ミーティングを開始しました。

テーマは何でもOKです。仕事のことでも良いし、キャリアでもプライベートでもOK。

メンバーが思っていることや感じていることを言語化する機会を作ることで、思考の整理や気づきを促し、自ら行動することへのサポートの場として位置づけました。

小林さん

1on1をやるとなった当初は「部長と直接話すんですか・・」という反応もありました(笑)

でも、相手の悩みに対して自分の経験を話してあげたりすると「部長でもそんなこと悩んでいたんですね(笑)」という会話になったりなど、関係性を構築しながらモチベーション向上のサポートをしていくうちに、徐々に希望者が増えていくようになりました。

1on1ミーティング

施策⑤ オフィスの「ワイガヤ化」と「シリコンバレー化」

オフィス内に、メンバーがフラッと集まって自由に会話ができるスペースを作りました。

ただ机と椅子を置いただけではなく、クリエイティブな時間になるよう大画面モニターや芝生、バランスボールを置いて、ワイワイガヤガヤできる自由な雰囲気の空間にしました。

またオンラインホワイトボードも活用して、シリコンバレー事業所と一緒にサービス立案のブレストを実施。

時差のため同時にミーティングが出来ないメンバー同士が、浮かんだアイディアを都度、オンライン上のホワイトボードに付箋を貼っていきます。そうすることで昼夜逆転している相手ともお互いの意見を重ねあうことができ、新サービスのアイディアを具現化していくことができたと言います。

小林さん

オンラインホワイトボードの主な活用目的は新サービス開発ですが、これを使っていくことで営業メンバーの視座が上がっていき、雑談力も向上するという副次的効果があることが分かりました。

ちなみにワイガヤスペースは最初、部長席の前に置いていたのですが、メンバーにそれだと喋りにくい!と言われ移動となりました(涙)

オフィスのシリコンバレー化

施策⑥ お昼休みに流れる「FMラジオもどき」

週に一回お昼休みに、小林さんがパーソナリティ、メンバーがゲストとなるラジオ風のオンライン配信をスタートしました。

イメージは、笑っていいとものテレフォンショッキングのオンライン版で、話すテーマに縛りはなく、完全にフリートークです。

その内容を、他のメンバーはお昼ごはんを食べながら聞いたり、後日オンデマンドで聞けるようにもして、メンバー同士の理解を深める場として実施しました。

小林さん

メンバーの相互理解を促進する目的で始めたのですが、やってみて分かったのは、タモリさん役がとても大変!

営業パーソンとしての基礎スキルである「質問力」「傾聴力」「表現力」を鍛えられることが新しい発見となり、その後パーソナリティ役をメンバーに経験させたりしました。

部内ラジオ版テレフォンショッキング

施策⑦ コミュニケーションロボット(部長代理)の設置

オフィスの部長席に、卓上型のコミュニケーションロボットを部長代理として迎えました。

部内に癒しを届ける会話型ペットのような役割と、部長からの遠隔音声メッセージの発信の役割(部長代理)を担っています。

遠隔音声メッセージでは、在宅勤務している部長がスマホに音声を吹き込むと、オフィスにいるメンバーに届けることができます。その仕組みを利用して、「今日はこれやろう!」「今日もがんばろう!」などと音声で伝えているそうです。

小林さん

音声メッセージは、私から直接言われるよりもロボットから言われる方が受け入れられる!という感想があがってきました。複雑ですが、これも新しい発見です(笑)

コミュニケーションロボット(部長代理)

以上、ここでは7つの施策をご紹介しましたが、これはほんの一部です。

その他にも、「リモート筋トレ」や「開運福顔セミナー」、「全員でMission Statement 策定」、「お客様商品牧場」などなど、ユニークな施策を50個以上も継続してトライしてきた小林さん。

まさに小さなことからまずはやってみるを部長として体現しています。

その結果、メンバー同士での新しい気づきが生まれ、組織としてのエンゲージメント向上に大きく貢献しています。

また、楽しいことをやっているだけの「ゆるい組織」になるのではなく、新規ビジネスを生み出し、営業成績もきちんと残す、「新しいことをやりながら会社貢献をする組織」として、今もなお様々な施策のトライ&フェイラーを続けています。

小林さん

様々なことにトライして学び・成長することを目指しています。コミュニケーション豊かでありつつ、会社目標の達成にも貢献する。それを両立することで、仲間と共に働いていることに「誇り」を感じるようになります。

その「誇り」を持ったメンバーが、いつか・どこかでまた何かを形にする。そんな人財が育つチームでありたいと考えています!

リモートマネジメント施策をやってみて得た学びと気づきと学び

最後に、これらのエンゲージメント施策の実践を通じて、マネージャーとして新しく学びとなった点や、今後も大切に持ち続けていきたい点について、小林さんのまとめをご紹介します。

「多くの解決策を持っている人=良い上司」ではない

・メンバーから相談や報告を受けた時に、すぐに「解決」をしようとするのを辞める。

・一度受け止め、「教えるモード」であるべきか「促すモード」であるべきか、自分の中で立ち止まって考える。

・教えるモードの時は、自分の経験を踏まえながら進め、促すモードの時は、なぜそう思ったのか、などの背景を聞く

「I’m OK」という自己肯定感ではなく、「Yes, I can」という自己効力感

・行動するエンジンのスイッチを入れるには、「自分にもできるかも!」という自己効力感が大事

・メンバーの真の目標・目的を一緒に探し出し、成功体験を積み上げてあげる

「聴く」を日常会話に取り入れる

・仕事以外での日常会話にも「聞く」ではなく「聴く」を意識する

・「聴く」で培われた信頼関係があるからこそ、個室での1on1がより充実する

(ちょっと頑張れば)続けられることを決めてみる

・「オフィスで走らない」「話しかけられたら手を止める」「1会話1笑い」など

・自分の得意を活かせることを続けていくことで、マネージャーとしての自信につながる

・信頼関係の構築のベースになる

小林さん

僕はマネージャーとして、バリバリの指導者ではなく「花咲かじいさん」のような存在になりたいと思っています。

育つ土台(マインド)を作って、気づきのタネ(キッカケ)を撒く。それを通じて、一人ひとりが未来を描く手助けをしていきたいと思っています。

そしてその花が咲いた時には、次の木を探す旅に出ていきたいですね!

マネージャーとして様々な取り組みを実践し、そこで得た気づきを次に活かすというサイクルを実現している小林さん。

お客様のために何ができるか、そのパーパスを前提に踏まえながら、組織全体でエンゲージメントを高く保てるような関わり合いをされています。

メンバーの活力を上げていくため、自分の強みを最大限に活かしながら、何よりもマネージャー自身が楽しんでいる。そこが大きなポイントなのではないでしょうか。

ぜひ、施策内容やマインドなど、すべてのマネージャーに参考いただきたいですね!